開幕ダッシュに失敗した誤算チームのなぜ?
パ・リーグではオリックスがあえいでいる
セ、パを通じて、一番の誤算は、オフに中島、小谷野、ブランコ、バリントンと大量補強をしたオリックスだろう。1勝8敗で目下最下位。チーム打率は.198、防御率も3.96と苦しい。 とにかく故障者のオンパレード。比嘉、岸田に続き、ストッパーの平野までが足の捻挫で離脱。打線では、クリーンナップのブランコが膝痛で抹消されている。マエストリ、馬原、佐藤達らで、中継ぎをまかなっているが、佐藤達にも勤続疲労の影響が色濃い。 昨季までオリックスは、中継ぎ陣に疲労を蓄積させないように起用法には注意を払ってきたのだが、このままでは、誰かを先発から後ろに回さねばならない状況。その先発も軸となるはずの金子に復帰のメドが立たないから苦しい。 オフの大補強は、投手陣の安定が大前提にあっただけに、その前提が崩れるとチームは機能しない。打撃20傑に入っているのは、平野ただ一人。 特に問題なのは、3番・糸井の大不振だ。9試合で打率は.147、1本塁打、3打点の数字は辛い。とにかくボールの見極めの悪さと打ち損じが目立つ。四死球の獲得率が首位打者を獲得した昨季は14パーセントあって、出塁率も.424だったが、今季は、まだ四死球の獲得率は10パーセントで出塁率は.231だ。 掛布氏は、こんな分析をしている。 「昨年1勝差で優勝を逃したオリックスは、その1勝を埋めるために打者を中心に大補強をしたが、打つ野球というものは計算が立たない。現状を見ると、金子の不在が大きな影響を与えている。彼がローテーションにいれば、ここまで負けが込むことはなかっただろう。投手陣ではバリントンを補強したが、昨季の中継ぎの疲労度を考え、そこの補強もしておくべきだったと思う。 糸井と中島の3、4番が、機能していない原因は、2人には、つなぐ、我慢というものがないことが理由だろう。共に行け行けタイプで、好球をどんどん打っていくから、爆発の可能性もあるが、ひとつ間違えば、こういった展開になる。 糸井は責任感を持たせると力んでしまうタイプ。最終的に数字は揃えてくるだろうが、どちらもバッティングに関しては似たスタイルだから、つなぎが生まれにくい。糸井と中島の打順は離したほうがいいのかもしれない。 オリックスは、借金7という大きなハンディを背負った。まだ9試合じゃないか?という意見があるだろうが、私は、優勝争いに影響を与える深刻な誤算だと見ている」 さて開幕ダッシュ失敗の誤算を一日でも早く手当てをして軌道修正をかけていくチームはどこになるのだろうか。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)