「直線は自然界では不自然」能登半島沖に長さ2キロの“未知の段差” 超音波で隆起探る「海底地形調査」に密着
北陸放送
元日の地震で、最大およそ4メートル隆起した能登半島北部。港や周辺の海域は水深が浅くなり、漁業に深刻な影響が生じています。海底の地形がどう変わったのか、そして地震を引き起こした活断層がどこにあるのか、超音波を駆使して船から海底の変化を探る調査に密着しました。 【写真を見る】被災した輪島港・海底に現れた“一直線の崖” ■県内トップの水揚げ「輪島港」海底隆起で出漁できず 国土地理院の解析では、輪島市の北部で地盤が最大およそ4メートル持ち上げられるなど、珠洲市から志賀町にかけての日本海側で大規模な隆起が確認されました。 地震前までは県内最大の水揚げを誇ってきた輪島港も、港内の水深が浅くなり、およそ200隻の漁船が漁に出られない状態が続いています。国土交通省などは、港内の海底を掘り下げる工事を進めていますが、すべての漁船が漁に出られるめどは立っていません。 隆起の全容を解明しようと、研究者が海底地形の調査に乗り出しました。 ■大型船で近づけない「沿岸域」遊漁船で調査 能登半島沖では地震後、これまでに海上保安庁や海洋研究開発機構(JAMSTEC)などが海底地形調査を行っていますが、水深が浅い沿岸域は近づけず、詳しい海底地形が分かっていません。 九州大学浅海底フロンティア研究センター長で、浅い海域の調査を専門に行う菅浩伸教授(60)は、ドローンやロボットを開発する民間企業「ワールドスキャンプロジェクト」と共に、4月27日から5月5日にかけて、遊漁船を使って能登半島沖で海底の地形を調べる「マルチビーム測深調査」を行いました。 調査では船に取り付けた装置から超音波を発射し、海底から反射された音波をリアルタイムで捉えます。 水深が浅い海域ほど、一度に計測できる範囲が狭くなるため、港のすぐ外側では何度も往復しながら地図の空白地帯を埋めていきます。 「色を塗っていくような感覚で測深していく。浅いと色鉛筆で色を塗っている感じ、深くなるとはけで塗っている感じ」(菅教授) ■「ガーンといくかもしれない」水深10メートル未満の浅瀬 輪島港のすぐ沖合は、元から水深が浅く、地震でさらに海底が隆起したため、漁業者が航行に不安を募らせます。地図で赤色に示された水深10メートルに満たない浅瀬を、慎重に計測していきます。