【2024年秋・衆院選】 ■上武大学・田中秀臣教授が分析 与党も野党もマスコミも「政治とカネ」ばかりで騒いでいる衆院選（27日投開票）だが、各種世論調査をみると、有権者が最も重視しているのは景気や賃上げ、物価対策などの経済政策だ。各党は公約で給付金や減税、投資促進策などを掲げて支持を訴えるが、石破茂首相（自民党総裁）と立憲民主党の野田佳彦代表はそれぞれ「増税」にも言及している。どの党の政策が有権者や日本経済にとって有益なのか。専門家が分析した。 産経新聞とFNN（フジニュースネットワーク）が衆院選公示前の6～7日に実施した合同世論調査では、「投票先を決める際に何を重視するか」を複数回答で聞いたところ、「景気・賃上げなどの経済対策」との回答が35・6％でトップで、派閥の裏金問題など「政治とカネ」の問題は28・7％だった。 また、共同通信社が19、20両日に実施した全国電話世論調査（第2回トレンド調査）でも投票時に重視する政策を複数回答で尋ねると、「景気・雇用・物価高対策」が60・8％で、「政治とカネ問題」は15・7％だった。 経済は有権者の生活に直接関わる問題だけに当然といえば当然で、「政治とカネ」だけが争点かのような論調はミスリードだとすらいえる。 そこで、各党が公約などで掲げた経済政策についてまとめたのが別表だ。 石破首相（総裁）率いる自民党は岸田文雄前政権のフレーズを踏襲し、「成長と分配の好循環」を掲げる。「デフレ脱却に向けて政策を総動員する」とし、物価高対応のために低所得者世帯を下支えする給付金の支給や農林水産業、中小企業など地域の実情に応じた「重点支援地方交付金」の拡充などを掲げた。 一方で「経済成長と財政健全化の両立を実現」すると明記した。石破首相は15日のNHK番組で、防衛力強化の財源を確保するために導入を予定している法人、所得、たばこ3税の増税について、開始時期を年末の税制改正の際に決める意向を示し、「負担能力のある人や、法人に負担してもらうことは当然考えなければならない」と述べた。 公明党は自民とともに掲げる給付金について、石井啓一代表が17日のBSフジ番組で「1世帯10万円が目安」と言及した。「住民税非課税世帯に限定する必要はなく、少し広げても良い」とも付け加えた。党の公約として電気、ガス料金、ガソリンなどの補助金の「支援を続ける」としており、延長も見据える。