スマホでも進むエッジAIの波。クアルコムが新型チップ「Snapdragon 8 Elite」発表
半導体大手のクアルコムは10月21日（現地時間）、アメリカ・ハワイで年次イベント「Snapdragon Summit」を開催。ハイエンドスマホ向けチップセット「Snapdragon 8 Elite」を発表した。 【全画像をみる】スマホでも進むエッジAIの波。クアルコムが新型チップ「Snapdragon 8 Elite」発表 イベントにはクアルコムCEOのCristiano Amon（クリスチャーノ・アモン）氏や、サムスン電子社長兼MX事業部長のTM Roh氏らが登壇。 パートナーシップを結ぶマイクロソフトCEOのSatya Nadella（サティア・ナデラ）氏、メタCEOのMark Zuckerberg（マーク・ザッカーバーグ）氏、OpenAI CEOのSam Altman（サム・アルトマン）氏らもビデオメッセージを寄せた。 登壇者やビデオメッセージで登場した各社CEOの顔ぶれからも分かるとおり半導体のイベントではあったが、その主役は「AI」だった。
PC向けシリーズと表記を統一
Snapdragon 8 Eliteは、2023年10月に発表された「Snapdragon 8 Gen 3」の後継モデルにあたり、主にAndroid搭載スマートフォンやタブレットのハイエンド機種向けのチップセットになる。 命名規則が「Gen X」表記から「Elite」に変更されており、クアルコムがPC向けに展開している「Snapdragon X」シリーズの命名規則に準ずる形になる（Xシリーズには上位モデルのEliteと、性能を抑えたPlusがある）。 PC向けからモバイル向けに継承されているのは名前だけではない。 Snapdragon 8 Eliteは第2世代Qualcomm Oryon CPUを搭載している。Oryonは2021年にクアルコムが買収したNuvia（ヌヴィア）の技術で設計されており、PC向けのSnapdragon Xシリーズでは、その第1世代が搭載されている。 モバイル向けにOryonが搭載されるのは今回が初めてで、クアルコムは前世代モデルと比較して45%のパフォーマンス向上（シングル/マルチスレッド両面で）、44% の電力効率向上をうたっている。 また、AI処理を担う「Hexagon NPU」は前世代モデルと比較して電力効率、処理能力ともに45％向上する。 クアルコムは、Snapdragon 8 Elite上で動くAIモデルについて、日常的なタスクから、仕事で使うような複雑な指示が処理できるだけではなく、写真や音声などをAIに処理させるマルチモーダル処理もできるとしている。 具体的なAIモデルの実装は、各メーカーが担当することになるが、ライバルではアップルが「A17 Pro」以降、グーグルが「Tensor 3」以降の独自チップセットでエッジAI機能に対応。 国内向けだと日本語対応という課題感は残るが、Snapdragon 8 Eliteの登場で「スマホ上で動くエッジAI」の高性能化は加速しそうだ。
