アルコールを浴びるから帰りは当然「自走不可」!! レースの表彰台で行われるシャンパンファイトについて現役ドライバーに直撃した!
シャンパンファイトって汚れないの?
レースやラリーに限らず、モータースポーツのポディウムセレモニーといえば、“シャンパンファイト”が風物詩だ。 【画像】海外のレースでのシャンパンファイトで自らのドライビングシューズにお酒を注いでいる様子 文字どおり、トップ3に食い込んだクルーたちが、互いの健闘を讃えあうかのように、シャンパンをかけあうシーンが多く、事実、7月26~28日に開催されたスーパー耐久シリーズ第3戦のオートポリス大会でも、レース後の表彰式ではトップ3のクルーたちが激しいシャンパンファイトを行なっていたのだが、果たして、彼らクルーはシャンパンを浴びることをどう思っているのだろうか? アルコール類はベタつくほか、帰宅のことやレーシングスーツのクリーニングを考えると正直、あまりシャンパンを浴びたくない……というのが本音のでは? というわけで、何人かのドライバーにシャンパンファイトを巡る本音を尋ねてみた。 まず、「表彰台に登れた証ですからね。やっぱり、シャンパンファイトはうれしいです。コロナ禍はシャンパンファイトがなかったので表彰式での手応えがなかった」と語るのは、スーパー耐久に加えて、スーパーGTでも活躍している井口卓人選手だ。 とはいえ、やはり、シャンパンファイト後の処理については苦労をしているようで、「やっぱり、ベタつくので終わったあとは嫌ですね。それでも、シャワーを浴びることはないです。水道で頭や顔を洗ったり、濡れたタオルで体を拭くことはあるけれど、だいたいそれで済ませています」とのこと。 さらに「お酒の種類によっては目が染みるものもあるので、それも大変です」とのこと。それでも「やっぱり、喜びのほうが大きいので表彰台ではシャンパンが必要ですね」と井口選手は語っていた。
世界ではシャンパン以外を使う場合も
一方、スーパーGTやスーパー耐久など、数多くのポディウムフィニッシュを果たしてきた藤波清人選手もポディウムフィニッシュ後の後始末に苦労しているようで、「シャワーを浴びられるのなら、浴びて帰りたいんですけどね。シャワーがないコースもあったりするので、その場合は、頭や顔を洗うなど、可能な限りのケアをしていますが、時間がなくて、着替えただけで帰ることもあります。日本酒のスパークリングを浴びて、お酒臭いまま帰ったこともありましたね」と語る。 それでも、シャンパンファイトは表彰台では欠かせないセレモニーになっているようで、藤波選手によれば「やっぱりシャンパンはうれしいですね。まだやったことはないんですけど、チームスタッフに高いところからボトルを落として渡すのをやってみたいです」とのことだ。 ちなみに、井口選手も藤波選手もシャンパンは表彰台のうえで飲んでいるようで、帰宅時はチームスタッフに送迎してもらっている。 なお、モータースポーツでおなじみのシャンパンファイトだが、「インディ500」ではウイナーがシャンパンではなく、ミルクをがぶ飲みしたり、イスラム教徒圏などアルコールが禁止されている国ではノンアルコールの炭酸飲料が使用されるなど、必ずしもシャンパンおよびスパークリングワインが使用されるわけではない。 先日、筆者が取材したアメリカのラリー選手権、ARA(アメリカン・ラリー・アソシエーション)でも、サービスパークおよび表彰式の会場が夏休み中のハイスクールとなっていたことから、シャンパンに代わってスパーリングのホワイトティーを使用。その一方で、F1で見られる自分のシューズにお酒を注いで飲む儀式、“シューイ”にはビールが使用されていたりで、シャンパンファイトはさまざまなスタイルで行われている。
廣本 泉