まるで焦げ? 老化につながる「糖化」の原因や予防のための食事を管理栄養士が解説
「糖化」の原因となる食事・生活習慣は?
編集部: 糖化を引き起こす原因はなんですか? 髙橋さん: 糖化を引き起こすのは体の中で余った糖です。通常、糖は体の中でエネルギーとして使われますが、食べ過ぎたり、糖質の多い食べ物や飲み物を必要以上に摂取したりすると使い切れずに余ってしまいます。余った糖は血液の中を漂い、たんぱく質を見つけると結合して変性させます。その結果「AGEs」が作られてしまうんです。 編集部: 糖化はいつ起こっているのでしょうか? 髙橋さん: 糖化は、血糖値が上がった時に起きています。血糖値とは、血中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。食事をすれば、炭水化物が体の中でブドウ糖に分解されて血中に取り込まれ、この時に血糖値が上昇するので、糖化自体を完全に防ぐことはできません。また、糖化する糖質には「果糖」もあります。果糖は果物に多く含まれる糖質ですが、異性化糖製品として「果糖ブドウ糖液糖」や「高果糖液糖」など清涼飲料水や総菜パン、缶詰などにも多く含まれています。果糖は直接血糖値の上昇に関係することはありませんが、糖化するスピードはブドウ糖よりも早くAGEsを多く発生させてしまいます。 編集部: 糖化をチェックする方法はありますか? 髙橋さん: まずは、自分の食生活をふりかえってみましょう。 ・人よりも食べるスピードが早い ・水分は常に甘い飲み物で摂っている ・精白米、麺類、パンなどをよく食べる ・お菓子や菓子パンをよく食べる 以上の項目は、糖化が起こりやすい状況の例です。一つでも当てはまる場合、体の中で糖化が加速しているかもしれません。
管理栄養士が教える「糖化」予防の食事のコツは?
編集部: 糖化を予防するためにはどうすればいいですか? 髙橋さん: 糖化を予防するためには、血糖値の上昇が緩やかになるような食生活を心がけることです。糖化の原因は体の中で余った糖です。急激に血糖値が上がると、体の中で糖のエネルギー変換が追いつかずに体の中で糖が余ってしまいます。また、糖化の原因である「果糖」の摂取量を考慮しましょう。果物を適量食べる分には糖化を加速させる大きな原因にはなりません。問題は果糖が含まれる「異性化糖製品」で、私たちの身近にあるさまざまな飲み物や食べ物に利用されているので、摂りすぎには注意が必要です。 編集部: どんな食べ物で糖化を予防することができますか? 髙橋さん: まずは、低GI食品を選ぶことです。低GI食品とは、血糖値が上がりにくい食品のことです。また、食物繊維をしっかり摂ることで、血糖値の上昇を抑えることができます。おにぎりやパンをたくさん食べてしまう方は、たんぱく質が不足しているため満腹感が得られていない可能性もあります。食事では、食物繊維とたんぱく質をしっかり摂ることを意識しましょう。 編集部: 糖化対策の食事のポイントはなんですか? 髙橋さん: 食事の際は食べる順番に気をつけましょう。まず、食物繊維の多い野菜から食べて、次にたんぱく質の多い肉や魚、それからごはんやパンなど炭水化物の多い食べ物を食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。また、食品を選ぶ際には異性化糖が含まれていないかパッケージの原材料名を確認してみましょう。異性化糖が配合されている場合は原材料名に「ぶどう糖果糖液糖」や「果糖ぶどう糖液糖」「高果糖液糖」「砂糖混合異性化液糖」などと記載されています。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 髙橋さん: 糖化を予防することで、体が老化するスピードを緩めることができます。糖化を予防する食事を心がけることで、血糖値の急激な上昇や「果糖」を含んだ食品の摂取を減らすことができ、肥満など生活習慣病の予防もできます。予防はなかなか成果が見えにくいのでモチベーションを保つのは大変ですが、10~20年後の自分を想像しながら日々の食生活を工夫してみてはいかがでしょうか?