米調査では7人に1人が子ども時代に「デジタル性暴力」を経験…「子どもにスマホを持たせなければ大丈夫」では済まない理由
ウェブカメラに誘導する卑劣な手口
まず、チェコで行われた実験を紹介しましょう。巨大な撮影スタジオに3つの子ども部屋をつくり、それぞれに〝12歳の少女〞を10日間、常駐させました。実際には、幼く見える18歳以上の女性俳優たちが少女を演じています。 各部屋にはパソコンが1台ずつあり、彼女らがSNSで「友だち募集」と投稿したところ、2458名の男性からのコンタクトがあった│。そんな一部始終を追ったドキュメンタリー映画『SNS―少女たちの10日間―』が2020年に製作され、翌年に日本でも公開されました。 女性俳優たちは、すべての男性とコンタクトを取りました。すると、大多数の男性は彼女たちが12歳だと確認したうえで、カメラの前で性的なやり取りを要求したり、自身の性器の写真を送りつけたりしたのです。 言葉巧みなグルーミングや卑劣な脅しを用いて、実際に会うことを求めてくる男性もいました。スタジオでは、精神科医、性科学者といわれるセクシュアリティの専門家、弁護士、警備員などが女性俳優をバックアップし、ケアしました。 それでも彼女たちは、男性たちから一方的かつ容赦のない性的な関心と言葉を浴びせられ、見たくもない画像を見せられたのですから、過酷な体験をしたに違いありません。 また、イスラエルとアメリカの大学でも、チャットルームをとおして子どもと接触しようとする大人の動向を調査した研究があります。研究チームは、〝13歳の少女〞という設定で会話に自動返信するシステムを作成し、アプローチしてきた18歳以上の成人と会話をさせました。 会話は合計953件が記録されましたが、そのほとんどがウェブカメラに誘導する内容だったといいます。大人たちの要求は露骨で、「報酬をあげる」と言ってカメラの前で性的行動をするよう子どもに持ちかけたりする行動が見られたといいます*4。 いずれの実験でも、大人たちが群がったのは〝架空の少女〞でしたが、いまこうしているあいだにも世界のいたるところで、現実の子どもが卑猥な言葉や画像を送りつけられ、カメラに誘導され、グルーミングや脅迫を受けながら性的な画像・動画を要求されたりしているのかと思うと、胸が痛みます。 もちろん、男子も例外ではありません。「男子わいせつ画像」とニュース検索すれば、たくさんの事件がヒットします。写真を送らせるだけでなく、それを脅しのネタに使って呼び出して、性行為を強いる事件も起きています。
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