“7つの悪手”「中居正広氏の謝罪文」は、まさに失敗の典型だ 反発は必然!周りに「危機管理の専門家」はいなかったのか
【4】部分否定的な謝罪 自分の非を全面的に認めず、一部だけを否定するのも得策とは言えません。 「このトラブルにおいて、一部報道にあるような手を上げる等の暴力は一切ございません」と言い切っていますが、「手を上げる暴力はなくても、相手が精神的に傷つく行為はあった」と認めているようなものと解釈されるわけで、部分否定することによって、ほかを肯定しているような印象を与え、逆効果です。 ■そもそも日本語として意味不明な箇所も
【5】意味不明な謝罪 そもそも、日本語として意味不明な箇所が見受けられました。 「私自身の活動においても、ご苦労を強いてしまっていることが多々発生しております」とありましたが、一体どんな意味なのか、判然としません。 【6】反省なき謝罪 表面的には「申し訳ない」と言いながら、その口で、「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」と悪びれもせず、述べているのが驚きです。
真摯な反省があれば、このような言葉は出てこないはずです。 【7】批判的謝罪 「どうか本件について、憶測での詮索・誹謗中傷等をすることのないよう、切にお願い申し上げます」とありますが、誹謗中傷する人やメディアを批判しているようにも聞こえます。批判の矛先をほかに振り向けている印象を与え、逆効果でしょう。 また、最後に、「のんびりなかい 中居正広」と記しています。 この「のんびりなかい」は中居さんの個人事務所のようですが、この文面に、「のんびり」などという文字は非常に違和感があります。
本人の個人名だけで十分だったはずで、なぜ、こんな拍子抜けする会社名をわざわざ入れたのか、意図がわかりません。 ■周囲に「危機管理の専門家」はいなかったのか 謝罪について詳しいアメリカの心理学者ガイ・ウィンチ氏は、「謝れない理由には、たいてい2つある」と述べています。 1つめは「自分の過ちを認め、謝罪するという感情的な不快感を引き受けるほど、相手や人間関係に関心がない」。もう1つは「謝罪しても意味がないと考えている」。
全体を通じて、「謝りたくない」感が満載の謝罪文を見ると、本当に謝る気があったのか、疑問を感じてしまいます。 周囲に危機管理の専門家はいなかったのか、これで事態が収拾できると思った根拠は何なのか、そんなモヤモヤだけが残る謝罪文だったと言えるでしょう。
岡本 純子 :コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師