キッコーマン・中野祥三郎社長 しょうゆを世界標準に、海外で浸透した背景 各国でレシピ提案、今後の海外戦略は
「インドの人口が中国を抜いて世界1位になり、次のターゲットとして注目していました。調査を行ったところ、人気の『インド中華』で、色が濃く、着色料やうま味調味料を原料とする〝ダークソイソース〟が使われていることが分かりました。インドでは、色が濃いほどおいしそうと感じる人が多く、黒い色を付けるために使われています。その中で、インド中華のシェフ向けに日本式の本醸造しょうゆを紹介したり、添加物を使わないダークソイソースを開発するなど、地道な活動を続けています」
――22年にオランダ工場が25周年を迎えました
「欧州市場向けに『KIKKOMAN』ブランドのしょうゆを販売しようと、オランダ・サッペメアに工場を建設し、1997年から出荷を始めました。欧州はまだ米国の4分の1の実績ですが、直近10年の伸び率は北米の約6%に対し、欧州は約10%です。一昨年の記念夕食会にはオランダ王子妃のローレンティン妃、駐蘭大使、政界・学会関係者、地元市長など多くの方にご参加いただきました」
――社長就任時はコロナの真っただ中でした
「国内外ともに移動できなかったため、その時間を有効活用したいと、各部署のマネジャー15、16人との対話の場を月に2回設けました。リアルの時もあれば、オンラインのみや、リアルとオンラインのハイブリッドの時もあり、約2年間で約450人のマネジャーと会い、各職場で取り組んでいること、考えていること、社員の育成やエンゲージメントの向上などについて情報共有しました」
――今後の海外戦略は
「北米でしょうゆの売り上げはまだ伸びると思います。テリヤキソースなどしょうゆ加工品の商品ラインも拡大しています。欧州は引き続き間口の拡大と使用頻度を増やす活動を続け、二桁成長を目指します。インドネシアやフィリピン、タイなどASEAN(東南アジア諸国連合)にも注力し、キッコーマンしょうゆをグローバル・スタンダードの調味料にするための挑戦を続けます」