被害者の裁判の負担重く「不同意性交等罪」審理に課題
沖縄テレビ
16歳未満の少女に対する不同意性交等などの罪に問われたアメリカ空軍兵の男の裁判で先週、那覇地方裁判所は少女の証言を全面的に認め実刑判決を下しました。裁判を傍聴した専門家は世間の耳目を集めた今回の裁判のあり方には課題が残ると指摘しています。 琉球大学法科大学院 矢野恵美教授「今回結果として被害者の証言が全て認められましたので、その点は非常にきちんとした判決であったと感じました。」 裁判を傍聴した琉球大学法科大学院の矢野恵美教授です。判決に納得する一方、少女が被害者となった事件の「裁判の在り方」に疑問を投げかけました。 矢野教授「16歳未満であれば被害者がどう思おうと、加害者はそれを認識している以上犯罪だ、ということをもう少し明確にして欲しかった。」 2023年7月に施行された法改正で「不同意性交等罪」は、16歳未満の被害者の場合、同意の有無に関わらず加害者は罪に問われます。しかし今回の裁判では被害者の年齢の認識や「同意があったか、なかった」が争点に持ち出され、加害者は無罪を主張しました。 そのため裁判では被害にあった少女自ら証言台に立ち、英語とジェスチャーを交えて年齢を伝えたことや、性的暴行を受けた際には「やめて」「ストップ」と繰り返し伝えたと訴えました。 法廷での証人尋問は5時間に及びました。 矢野教授「今回の法改正の重要な部分であるにも関わらず、今回の判決を裏返してみると、若い被害者がストップと言えなかったなら、被告人は被害者に同意がないことを認識せず無罪であったのか。というところに強い不安を感じました。これは今後のほかの事件にも影響するのではないかと心配している。」 矢野教授は「被害者が頑張って証言してそれが認められたことは意味あるが、一方で、これだけやらなければ有罪を認められないという誤ったメッセージになると強い懸念を示しました。その上で、司法には、被害者の負担を軽くする形で裁判を進めていただきたいと話しています。
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