【アライ ツアークロスV インプレ】総合性能に優れたバイザー付きモデル、スタイル変更もイージーだ
ツアークロスVは、アウターバイザー(ひさし)とシールドを備えたクロスオーバーヘルメット。工具不要でバイザーを着脱でき、アドベンチャーモデルにもオンロードモデルにも似合う。その実力をチェックしてみた。 【画像】アライ ツアークロスVのディテールをギャラリーで見る(15枚)
各部に最新機能を採用、3スタイルにチェンジできる
日射しや泥を遮るバイザーを備え、ゴーグルを併用するのがオフロード系ヘルメット。これにシールドを採用することで、オンロードとオフに対応したモデルがクロスオーバー系ヘルメットだ。 アライのツアークロスVは、通常のひさし付きクロスオーバー系に加え、ひさしを外したオンロード系、シールドを外したオフ系の3スタイルが楽しめるのが魅力。発売されたのは2023年で、前作のツアークロス3から実に11年ぶりの全面刷新となった。 ・価格:6万9300 円~ ・サイズ:54cm、55-56cm、57-58cm、59-60cm、61-62cm ・規格:スネル、JIS まず特筆すべきは帽体。ツアークロス3はゴーグルを取り付けるオフ系メットがベースだったため、チンガードなどが突き出した形状だったが、本作では通常のフルフェイスのような曲面フォルムとなった。 加えて、2軸構造のVASシステムによってシールドベースの位置を下げ、衝撃をかわす帽体面積を拡大。より丸く滑らかな卵型のフォルムにすることで安全性を向上している。 また、ひさしやシールドをカンタンに外せるのもポイント。従来型はこれらを着脱する際、左右各2本のネジを外す必要があり、ひさしナシのスタイルにするためには別売のホルダーを装着する必要があった。しかし本作ではボタン一つで着脱でき、ホルダーも不要に。おかげでスタイル変更がよりイージーになっているのだ。
開放感があり、直進安定性&換気効果も優秀
被ってみて、まず実感したのは視野の広さ。アイポート上下が広がり、とても視界がいい。口元のスペースも広いことも手伝って、開放感がある被り心地だ。 筆者はSHOEIなど他社製品ではLを被っている。アライは59-60cm(L相当)だと、こめかみから上が痛くなりがちな頭部形状のため、61-62cm(XL相当)でテスト。前後方向にやや緩いものの、全体的に頭部を包み、特に頬部は下から面で全体をキッチリ包む感じがいい。 重さは実測1720g。バイザーの分、当然フルフェイスより重くなるが、この数値より着用感は軽快だ。重量バランスもいいため、疲れにくい。 特に印象的だったのは換気性能だ。ひさしがあると額のダクトに走行風が導入されにくいが、ロゴダクトと頭頂部のダクトが前後に設置されているため、しっかり換気できている印象。 口元にはアゴ下から適度に風が流れ込み、涼しい。アゴ下にあるエアロフラップを引き出すと風が減ったのが体感でき、変わりやすい気温にもすぐ対応できる。 空力性能もバイザー付きモデルとしては優秀だ。通風口のあるバイザーや、リアスポイラーにより100km/hでも直進安定性は抜群。過去にツアークロス3をテストしたが、直進時では確実にバイザーが走行風に煽られにくくなっている。また、日射しなどに応じてバイザーを自由に可動できるのも便利だ。 バイザー付きモデルは一般的に風切り音が大きくなる。本作でも100km/h超では風切り音がかなり発生するが、不快なレベルではない。ちなみにアップライトなバイクではひさしを下げた方が風切り音が静かになった。