パンダで変わった「インドア派」の人生。13年写真を撮り続けた男性が見たリーリーとシンシン
今年8月30日、リーリーとシンシンの返還が突然公表された。リーリーとシンシンは高齢期に差しかかっている。2022年以降、嘔吐や高血圧の症状が出始め、投薬治療を行っていた。こうした状況を受けて日中の専門家が協議。中国に移動可能な健康状態のうちに、帰国させて治療するのが望ましいと判断されたのだ。 高氏さんにとっては「青天のへきれきだった」。それからは観覧に数時間待ちの行列ができるようになった。「笑顔や元気をもらった人の多い証拠だ」と思った。実際に、お別れにと園を訪れた東京都の女性は取材にこう語った。「愛くるしいしぐさに癒やされてきた。中国でも幸せになってほしい」 リーリーとシンシンは高氏さんの人生を大きく変えた。「パソコンが友だち」の生活はアウトドア派に。パンダを通じて数百人の仲間ができた。中国にも3回足を運んだ。2023年に返還されたシャンシャンに会うためだ。 これで上野に残るパンダはシャオシャオとレイレイだけになる。高氏さんは最終観覧日の9月28日も園を訪れ、いつものように写真を撮影した。シャッターを切りながら、心の中で何度も「13年間ありがとう」とつぶやいた。「中国で会えるようになったらすぐに行くね」。古里に帰った2頭との再会を心待ちにしている。