優秀なコンサルタントが実践する「どんな場面でも評価される」方法
コンサルティング会社の出身者には、業界や職種を問わず、さまざまな場所で活躍している人が多くいます。つまり彼ら、彼女らが身につけているのは、どんな場面でも活躍できる、普遍的な仕事のスキルなのです。優秀なコンサルタントたちが口をそろえて、「ビジネスをする上でいちばん大事なもの」であると答えた、シンプルかつ最も重要な考え方とは何でしょうか? 【図】上司による「害のある」フィードバックの特徴 ※本稿は『コンサル一年目が学ぶこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
相手の期待を超え続けることが「ビジネスの基本」
少々高度なお話をしましょう。高度ではありますが、非常に重要なことです。 「ビジネスをするうえでいちばん大事なものは何か?」こう問われたら、あなたはどう答えますか?やりがいとかお金とか、そんな個人的なことを聞いているのではありません。どうしたら、常に評価と信頼を得られて、次にも仕事がくるようになるのか? ということです。 取材を通して、多くのコンサルタントにこの質問をしてみたところ、なんと全員の答えがずばり一致しました。ひょっとしたら、あまり聞き慣れないことかもしれませんが。 それは、「相手の期待を超え続けること」です。 相手の期待を超え続けることがビジネスの基本。「ビジネスというのは、突き詰めると、相手の期待を、常に超え続けていくことにほかならない。顧客や消費者の期待を超え続けていくこと。上司の期待を超え続けていくこと」これこそがビジネスにおけるいちばんの秘訣です。 具体的には、どういうことなのでしょうか? あるコンサルタントの方の、新人時代の強烈な体験を通して説明しましょう。
「そんなこと、1ミリも頼んでない!」
彼は、コンサルタント一年目にマネジャーから激怒されました。その理由が、「ていねいな仕事をしてしまった」からだと聞いたら意味がわからないかもしれません。でも、怒られた。どういうことでしょうか? 彼は、一年目で配属されたプロジェクトで、あるサービスの市場規模を算出することに取り組んでいました。この仕事において、クライアントが最終的に知りたいことは単純で、そのサービスの市場規模の金額そのものでした。それを正確かつ合理的に算出するというのが、彼のミッションでした。 しかし、彼はサービス精神から、市場規模の数字以外にも、関係者に行ったヒアリングの議事録を書き直し、ていねいにファイリングして、正月を返上して自分なりに働きました。非常に前向きな努力です。しかし、正月を潰してつくったファイルをもって休み明けに会社に行ったところ、上司に言われたのが先ほどの言葉だった、というわけです。 「そんなこと、1ミリも頼んでない。それより、市場規模の算出を進めるように。きみがやっているのは単なる無駄。事実、正月休みだってなくなったじゃないか。そんなことして(過労で)倒れてしまっては元も子もないぞ」 彼はその考え方の違いに、ショックを受けたといいます。たしかに、クライアントの求めているのは、市場規模を出すことでした。数字の精度を上げる方向の努力なら喜ばれもするでしょうが、本筋と関係ないおまけをくっ付けたところで、クライアントからしたら、どうでもいいこと。クライアントの立場に立ってちょっと考えてみれば、わかることです。 求められていないことに時間を使っても、クライアントからも上司からも評価はされないのです。まずは、相手が何を期待しているのかを正確に把握する。相手が期待する中身がわかったら、それを絶対に外さない。