牛丼、ハンバーグ定食…夜遅くの「こってりご飯」が、認知症につながる理由【山田悠史医師】
また、夜に食べると満腹感を感じにくくなるという問題もあります。その結果、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまう傾向があります。早い時間に量をしっかり食べるのと比べて、夜遅くに食べると1日の総カロリー摂取量が増えてしまう傾向になることが分かっています(参考文献5)。 これらの要因が重なり合うことで、夜遅くにご飯を食べることは、体重増加のリスクを高めます。余分なカロリーが蓄積されやすくなり、それが長期的に肥満につながってしまうのです。
牛肉や豚肉などの「赤い肉」を食べすぎるとどうなる?
また、「いつ食べるか」だけではなく、「何を食べるか」も大切だと考えられます。同じ「夜遅く食べる」でも、ボリュームが多かったり、不健康な選択であったりするとその影響が悪化してしまうのです。 例えば、先に挙げた牛丼やハンバーグに含まれる動物由来の飽和脂肪酸や、牛肉や豚肉などの「赤い」肉そのものが、摂取量が多くなると悪玉コレステロールを増やす原因になりえます。逆に、それらの肉を別の食品に置き換えると、悪玉コレステロールが改善することも知られています(参考文献6)。牛丼やハンバーグを悪者にしたいわけではないのですが、残念ながら、その選択が私たちの体に変化をもたらすことはほぼ確実と言っていいでしょう。 そして、最終的にはこの体重増加や悪玉コレステロールが認知症リスクを高める可能性が高いのです。 例えば、100万人以上のデータを解析したイギリスでの研究(参考文献7)では、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの値が1mmol/L上がるごとに、認知症発症の確率が8%ずつ上昇するという関連が見られています。こうした関連は他の研究でも繰り返し見られており、特に65歳未満の人でこうした関連が強く見られることも知られています(参考文献8)。 これは、悪玉コレステロールが脳梗塞のリスクを上昇させ、アルツハイマー病との関連が知られるアミロイドβやタウ蛋白の沈着にもつながるからと考えられています(参考文献7)。
山田 悠史