都内のタクシーが変わる? 相乗りタクシー「GO SHUTTLE」が運賃50~60%オフを実現、ただし乗客トラブル&マナーなど課題山積か
相乗りタクシーの新展開
筆者(北條慶太、交通経済ライター)は「GO SHUTTLE」に関して、 ・相乗りタクシーに対する事業者の期待 ・タクシー事業者の効率化向上 ・地方都市への展開と新たなビジネスモデルの可能性 の三つの観点から新たなビジネスの可能性を感じている。それぞれを順を追って詳しく説明する。 ●相乗りタクシーに対する事業者の期待 都内を中心に、筆者は多くの都市部のタクシー事業者に取材を行ってきた。そのなかで、500円から1000円で利用できる相乗りタクシーを導入しようとする事業者が意外に多いことがわかった。従来のタクシービジネスに限界を感じ、相乗りタクシーに新たな可能性を見出す事業者が増えていた。 しかし、運輸局との相談では、路線バス事業への影響を懸念する声が多く、前向きな回答が得られないこともあった。しかし、AIを活用したオンデマンドタクシーの普及と、2024年問題にともなう路線バスの縮小傾向が鮮明になった今、相乗りタクシーは移動権を確保する重要な手段として無視できない存在になりつつある。 ●タクシー事業者の効率化向上 全国ハイヤー・タクシー連合会の調べによれば、2023年8月末時点で、法人タクシーのドライバー数は23万2912人で、充足率は79.9%となっている。さらに、厚生労働省のデータによると、ドライバーの平均年齢は2022年末時点で58.3歳と、高齢化が進んでいる。 コロナ禍の影響やモータリゼーションの普及による賃金低下が重なり、ドライバー不足が深刻化している。こうした状況下で、相乗りタクシーは営業効率の向上に寄与し、ドライバーの不足にも対応する可能性を秘めている。 さらに、混雑した路線バスが苦手で、かつ従来のタクシーは運賃が高いと感じるユーザー層からも、相乗りタクシーの需要が高まっている。今後、タクシードライバーひとりあたりの運べる乗客数が増えれば、供給力が強化され、さらなる効率化が期待できる。 ●地方都市への展開と新たなビジネスモデルの可能性 モータリゼーションの進展により、地方都市では公共路線バスの衰退が顕著になっている。2024年問題を受け、廃業を余儀なくされる事業者も増えてきている。一方で、アイシンの「チョイソコ」のような相乗り予約式サービスは全国に広がりつつある。 このような状況のなかで、「GO SHUTTLE」のような相乗りタクシーがその有用性を証明すれば、地域密着型のタクシー事業者が相乗りサービスを展開する契機となるだろう。また、都心部以外のエリアへの展開が進み、地域に根ざした移動手段の確保が可能になると考えられる。さらに、ライドシェアの活用や車両台数の拡大など、新たなビジネスモデルの構築が期待される。 しかし、相乗りコースをAIで割り出す必要があるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)に強いスタートアップ企業の参入が求められる。柔軟に活動できる新興勢力の参入こそが、普及拡大のカギとなるだろう。