糖尿病治療薬GLP-1、治療効果を期待できる「他の疾患」に関する研究
セマグルチド(オゼンピック、ウェゴビー、リベルサス)、チルゼパチド(マンジャロ、ゼプバウンド)といった人気薬を含む一群のGLP-1受容体作動薬は、体重減少と糖尿病の治療に効果があることが証明されているだけではない。これらの薬剤は、がん、アルツハイマー病、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など、他の疾患の治療にも効果がある可能性を示唆する証拠が増えている。 これらの薬剤は当初、2型糖尿病の治療薬として承認されたが、米国では近年体重減少の治療薬としても承認され、著しい効果をもたらすことが研究で示されている。チルゼパチドは通常、患者の体脂肪を平均22.5%減少させ、セマグルチドは15%減少させる。 そして、これらの薬剤はがん、依存症、心血管疾患、アルツハイマー病、うつ病などの脳疾患の治療にも効果がある可能性がある。 ・新型コロナウイルス感染症:セマグルチド(オゼンピック、ウェゴビー、リベルサス)が死亡率に影響を与える可能性 新型コロナのパンデミック中にセマグルチドを服用していた患者は、プラセボ群と比較して新型コロナの感染率は同程度だったが、感染による死亡リスクは33%低かった。 ・心血管疾患:セマグルチドは脳卒中や心臓発作を減らす可能性 8月の研究では、セマグルチドが心不全患者において脳卒中や心臓発作などの心血管疾患を発症するリスクを28%減少させることがわかった。また、この薬は心血管関連死を24%、全死因死亡率を19%減少させた。以前の研究でも、肥満または過体重の人において脳卒中、心臓発作、または心血管疾患による死亡のリスクを20%削減することが判明しており、FDA(米国食品医薬品局)はBMIが高い人における心血管管理のためにセマグルチドを承認するに至った。 ・糖尿病:チルゼパチドは2型糖尿病リスクを軽減 8月に行われた研究によると、チルゼパチドは過体重または肥満で糖尿病前症の人において、2型糖尿病を発症するリスクを94%も抑制した。 ・睡眠時無呼吸:これらの減量薬は睡眠時の呼吸障害を軽減できる 研究者たちは、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症の肥満患者において、チルゼパチドが睡眠中の呼吸中断の回数を大幅に減少させることを発見した。呼吸中断の回数は、疾患の重症度を測る主な要因の1つだ。一部の患者は劇的な改善が見られ、睡眠中に気道を確保する持続陽圧呼吸療法(CPAP)装置が不要になる可能性もある。