ポール・マッカートニーの秘蔵フィルムが解禁! ビートルズの熱狂を振り返る。
東京・六本木の〈東京シティビュー〉 にて、『ポール・マッカートニー写真展 1963-64~Eyes of the Storm~』が開催中。ポールが撮った写真から鮮明に浮かび上がる、ビートルズの魅力と、彼らが21世紀のカルチャーやアートに与えた影響を深掘りします。 【フォトギャラリーを見る】 2020年、ポール・マッカートニーのアーカイブから膨大なネガ・シートが発見された。これををきっかけに、『ポール・マッカートニー写真展』では、当時21歳のポールが、1963年から64年の間にペンタックス一眼レフで撮影していた写真を紹介する。ナショナル・ポートレート・ギャラリーとポール本人の企画によって世界を巡回している展覧会が、ついに東京・六本木の〈東京シティビュー〉に上陸した。 リヴァプールというイギリス北部(註:一般に南より貧しいとされる)の港町出身のジョン・レノン、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスン、そしてポール・マッカートニーは、10代半ばに出会って音楽を始めた。ポールが写真に収めた1963年から64年という時期は、4人が急速にグローバルな名声の階段を駆け上がった重要なターニングポイント。なかでも本展の写真が撮影された1963年12月から1964年2月までの約3か月の間に、彼らはリヴァプールからロンドン、パリ、そしてアメリカへと移動してゆく。1964年2月にはニューヨークでテレビ番組『エド・サリヴァン・ショウ』に出演。アメリカのファンの前に初めて登場し、リアルタイムで73万人という記録的な視聴者数を叩き出した。
20世紀半ば、エルヴィス・プレスリーのようにインターナショナルな人気を誇ったシンガーやハリウッド俳優はいたが、ビートルズのように国境を超越するグローバルな人気とカリスマ性、そしてアーティスト性を誇った存在はいなかった。ステージに登場するやいなや、どのコンサート会場でも少女たちは絶叫し、熱狂は瞬く間に会場全体へと広がった。 本展示では、コンサートの舞台裏や、JFK空港の展望テラス、彼らが宿泊したプラザ・ホテル周辺の通りで溢れるばかりのファンが待ち受けている様子、メンバーに向かって駆け寄ってくる写真も観ることができる。これらの写真からは、ビートルズの登場が文化・芸術的、そして社会的に、時代を変えた「事件」だったことが読み取れるだろう。昨今では極めて普通になっている、こうしたすべてのこと( 今では“推し活”として遥かに整理され組織化されている)は、ビートルズの出現と共に現れたのである。