現代の鎖帷子(くさりかたびら)!? 1000円ちょいのプロ向け「耐切創グローブ」は予想外に抜群のフィット感で細かい作業もこなせました
田舎と街の二拠点生活をしているライターのGOLです。耕作放棄地を再生し、田舎暮らしのトライ&エラーを楽しんでいます。この4月でこの生活を初めてちょうど1年。畑をしながら有害獣の駆除にも毎週末参加しています。今回紹介するのは、切れにくさと使いやすさが両立された耐切創グローブSHOWA「S-TEX 581」(実勢価格:1380円前後)です。 【製品の詳細画像を見る】 ショーワグローブ株式会社は、兵庫県に本拠地を持つ作業用、産業用手袋を製造するグローバルメーカー。ホームセンターではおなじみのブランドになります。価格もリーズナブルで、日々仕事で使うプロフェッショナル向けのアイテムを数多くリリースしています。
■耐切創グローブとは?
細いステンレスワイヤーに繊維を織り込んで作られたグローブです。ガラス加工や板金加工など、素手や普通の軍手では怪我をする恐れがある仕事で使われています。これまでその存在は知っていましたが、「固くて使い難いのではないか?」とか「使い心地が悪そう」などと勝手なイメージを持っていましたが、実際に使ってみると大違いでした。 身に着けた感じは、少し固めの伸縮性のある背抜き手袋といったところ。手のひら側には滑り止めのグリップゴム、甲側はステンレスが織り込まれているとは思えないくらい伸縮性があります。フィット感が良く、金属的な触感は皆無。これなら細かいネジを摘まんだり、PCのキーボードを打つことも可能ではないかと思います。 よく研いだ切れるナイフをグローブに当てて刃を引いてみても全く切れません。引っ掛かりもなく滑る感じ。ワイヤーの周りに織り込まれた繊維が切れることもありませんでした。直線的な耐切創性はかなり高いですね。赤い枠で囲った部分に書いてある「4X42E」はEN388:2016という保護手袋の物性強度規格での強度になります。 保護手袋には物性強度規格があり、耐摩耗性、耐切創性、耐引裂性、耐突刺性、耐衝撃性などさまざまな項目があります。この手袋「S-TEX581」は、耐切創性(直線型)と耐引裂性、耐摩耗性で最高クラスの規格に準拠しています。 耐切創性が低くなると、より柔らかく、薄く、普通の軍手のような使い心地になります。価格もそれに応じて安くなる傾向にあり、耐切創性がCクラスのものであれば1000円を切るモデルもあります。 手のひら側は、油に強いニトリルゴムの発泡樹脂が全面にコーティングされています。凹凸がかなりしっかりと付いているので、物を掴んだ時のグリップ性がとても良い。ただし、普通の軍手に薄いゴムコーティングがされたものと比べると、若干握力が奪われます。長時間何かを握ったまま作業するようなシーンでは耐切創レベルを少し落としたものを使った方が良いかもしれません。 さすがに素手で行うほどではないですが、スマホもグローブを着けたまま操作できました。着脱は簡単なのですが、着けたまま使えるのは楽ですね。 このグローブを購入した目的は有害駆除で使うため。3月までの猟期は防寒性を第一に裏起毛が付いたグローブを使っていましたが、4月から有害駆除に切り替わり、気温と共に服装も通気性や透湿性を重視したものに変えました。グローブも変える必要があったのですが、以前から、捕えた獲物を山林解体する際にナイフで手を切るのではないかと心配することがありました。使い捨てのニトリルゴム手袋だけでは心もとなく、このような耐切創グローブが良いと聞いて使うことにしました。 実際に山林解体時に上からニトリルゴム手袋をかぶせて作業しましたが、全く問題ありませんでした。皮をはいで部位ごとの肉を解体する際も違和感なくスムーズに行えましたし、手を切る心配がないので素早く作業を終えられました。 洗濯も普通の軍手と同じようにできます。手のひら側にも透湿性があり、気温の上がるこれからのシーズンにもぴったり。この優れたグリップ力と手を傷つけないという安心感は、プロ以外でもキャンプやアウトドアアクティビティで活かされると思います。 薄くて嵩張らず持ち運びも便利。値段も1000円前後とお財布にも優しいのもいいですね。
<取材・文/GOL>