石破政権のエネルギー政策は「赤点」 再エネ推進で10年150兆円のコスト増〝賦課金〟維持で「官僚栄えて国民滅ぶ」
◇キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏緊急寄稿 経済産業省は、中長期的なエネルギー政策の指針を示す「エネルギー基本計画」の原案を有識者会議に示した。2040年度の電源構成見通しでは、再生可能エネルギーの割合を「4~5割程度」と火力発電を抜いて最大にする見通しだという。原発が発電量全体に占める割合は「2割程度」とし、従来計画と同水準を維持した。石破茂政権は、国民生活を苦しめている「再エネ賦課金」は維持し続けるようだ。エネルギー政策に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹、杉山大志氏は緊急寄稿で、今回の原案を「赤点」「官僚栄えて国民滅ぶ」などと酷評した。 【比較してみる】若干フサフサに…。左が11月27日午後の石破茂首相、右が12月2日午前の姿 ■第7次エネルギー基本計画原案 第7次エネルギー基本計画の原案が17日、政府審議会で提示された。文案が出てきたのは初めてだが、私の採点では、「100点満点で5点。赤点」である。来週の次回会合で座長一任を取り付けるのが政府のもくろみのようだ。公の場で議論するつもりはほとんどないらしい。 内容を見ると40年度の発電構成として「再エネ4~5割程度、原子力2割程度、火力3~4割程度」となっている。再エネは現状で1割が水力発電で、残り1割が太陽光・風力発電なので、要は「太陽光・風力発電を現状の3倍から4倍にもする」ということだ。 これは大変なコスト増になる。 他にも、アンモニアで発電するとか、水素から合成メタンを作るとか、水素で製鉄するとか、どれもこれもバカ高いに決まっている技術のオンパレードだ。 政府はこれを「グリーントランスフォーメーション(GX)」法に基づいて、規制と補助金によって実現するとしているが、10年で150兆円もの費用がかかるという。年間15兆円だからGDP(国内総生産)の3%である。これで経済成長すると言うが、こんな筋ワルの投資で成長するはずがない。 これを推進するのは、「脱炭素」利権の権化となった経産省だ。 GX法の下、20兆円の国債を発行し、補助金をバラまく。その償還のために、エネルギー課徴金を国民に課し、企業にはCO2排出権を売って収入を得る。以上は特別会計で、新設の外郭団体が運営し、天下りが始まっている。