羽田空港、C滑走路に誤進入防ぐ「RWSL」設置開始 深夜のC5で作業
今年1月に羽田空港で海上保安庁と日本航空(JAL/JL、9201)の航空機が衝突した事故を受け、国土交通省航空局(JCAB)は滑走路への誤進入などを防止する「滑走路状態表示灯(RWSL)」の設置工事を羽田空港で始めた。事故現場となったC滑走路(RWY16L/34R)のC5誘導路から工事が始まり、2027年度末となる2028年3月末までに運用開始を予定している。 【写真】深夜の羽田空港で始まったRWSLの設置工事 RWSLは、滑走路への誤進入や滑走路横断中の誤出発を防止するシステムで、滑走路進入防止灯や離陸待機灯を点灯させ、パイロットへ知らせる。航空機の位置を検知して自動で点消灯し、管制官の指示とは独立して動く仕組み。 羽田のA滑走路には、「可変表示型誘導案内灯(VMS)」が設置されているが、VMSの設置場所を通過後はパイロットが灯火を確認できないため、停止線通過後も確認できるRWSLが滑走路誤進入対策として有効と判断された。 工事はC滑走路につながる誘導路で始め、事故が発生したC5から開始。その後、C3、C2、C1へと順次展開する。高速離脱誘導路のC4は除外した。2025年度からは滑走路への設置も開始し、制御装置や灯器設置後に運用を始める。 RWSLはC滑走路に約300基設置される計画で、工事は10月2日午前1時ごろから始まった。この日の作業では、誘導路の3カ所に深さ約30センチの丸い穴が開けられ、直径約25センチ程度の「基台」と呼ばれる灯火を固定する金属が埋め込まれた。また、配管を通すための溝も掘られた。 C滑走路の夜間閉鎖は週2日で、午前0時30分から午前6時30分までの6時間。しかし、遅延便の受け入れなどもあるため、工事の時間は余裕を持たせる必要があり、初日の作業も午前1時から5時までで行われた。 A滑走路とB滑走路にも設置予定で、2029年度までに運用開始を予定している。A滑走路のVMSは2012年10月の設置で、更新時期を迎えていることから、RWSLに入れ替えることにした。 国内の空港では、新千歳と伊丹、福岡、那覇の4空港の一部に設置。2013年4月に設置した福岡空港が国内初導入となった。有識者会議「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」の提言に加え、すでに運用実績があったことから羽田へのRWSL設置が決まった。 JCABでは、導入済みの4空港に羽田と成田、関西、中部の4空港を加えた計8空港にRWSLを導入し、2030年度中に全面運用開始を計画している。
Tadayuki YOSHIKAWA