日産が三菱自の筆頭株主に ゴーン氏が会見(全文1)三菱自株式34%取得
今後の戦略、事業面、シナジー効果について
まずは戦略的な考え方についてお話しいたします。三菱自動車が加わることで17年前にルノーと共に発足させたアライアンスのグローバル販売台数は2016年度で100万台に達する見込みで世界でトップスリーの自動車グループとなります。共同購買、現地化の徹底、工場の共用、共通の車両プラットホーム、新技術の共有、そして成熟市場、新興市場における協業を通じたプレゼンスの拡大を中心とする戦略を進めてまいります。 ルノーとの経験で何が達成できるかは分かっております。ルノーの支援のもと、日産自動車は黒字化を果たしました。台数と市場占有率は劇的に上昇したのです。またこの17年間アライアンスは一貫してシナジー効果を日産自動車にもたらしてきました。2015年、アライアンスの44億ユーロに上るシナジー効果を創出し、これは2018年には55億ユーロに増大する見込みです。三菱自動車がアライアンスの一員となることで、さらに価値あるシナジー効果を生み出す可能性が広がりました。三菱自動車が加わったアライアンスは、大部分の同業他社に対し優位となり、ハンディキャップは一切なくなります。 次に事業面について、ご説明したいと思います。すでに三菱自動車と共に両社に資するシナジー効果の領域を洗い出しましたが、ここでは特に日産にとってのメリットについてお話ししたいと思います。三菱自動車の持つ軽自動車セグメントのノウハウを活用し、日本のお客さまにより良い商品をお届けします。三菱自動車のプラグインハイブリッドシステムを採用し、当社の日産インテリジェント・モビリティの取り組みの一部とします。 また三菱自動車の持つピックアップの強みを生かし、共にグローバルで、このピックアップ市場のパワーハウスを目指します。またASEAN地域の三菱自動車の成功を生かし、私どもの事業強化を図ります。また、日産の販売金融会社は三菱自動車のお客さまに対し、さまざまな国々でサービスを提供します。もちろん、それは双方にWin-Winになるとうい条件です。先ほど、益子さんから三菱自動車にとってのメリットについてお話がありました。日産にとっては、これらのシナジー効果は営業利益の改善として税引前投資収益率10%相当を2017年度に、そして25%を2018年度以降のシナジー効果を見込んでおります。 シナジー効果額は来年は240億円。これは17年度の数字です。そして600億円を2018年度に見込んでおります。またそれ以降もシナジー効果は創出してまいります。1株当たりの純利益については2017年度は4円の上昇。そして翌年は10円を見込んでおります。これらの効果に加えて三菱自動車への出資に伴う株主としてのリターンを享受することになります。 しかしながらこれらのシナジー効果は三菱自動車とのアライアンスから生み出されるメリットです。この中にはルノーとのアライアンスのメリットは入っております。これがさらに全てのパートナーの収益に貢献することになります。これはルノーと三菱の新規のシナジー効果としてカウントされます。もちろんこれは始まりにすぎません。三菱自動車がアライアンスの一員として力を付けていくことは日産に長期的な投資収益と株主価値をもたらします。 私どものアライアンスは力強い効率的なマネジメントにかかっています。日産は三菱自動車からの要請で同社の取締役会および経営陣の強化を支援します。日産から4名の取締役候補を推薦しました。川口均チーフ・サステナビリティ・オフィサー、そしてグローバル渉外部も統括しております。そして軽部博グローバルコントローラー、そしてグローバル・アセット・マネージャー。そして山下光彦、現在、三菱自動車の取締役となっております。三菱自動車の要請を受け、山下氏は今年、副社長として開発部門を統括することになり経営会議の一員となっております。