韓国野党議員、防諜司令部が作成した「戒厳文書」を公開…「緻密な事前謀議の証拠」
防諜司令官の指示で作成…チュ・ミエ議員が入手
共に民主党のチュ・ミエ議員が8日、国軍防諜司令部が先月に作成した「戒厳文書」を公開した。「冲岩(チュンアム)派」(内乱罪容疑者尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の冲岩高校の先輩後輩)の1人であるヨ・インヒョン防諜司令官の指示で作成された同文書には、国会から戒厳解除を要求された際に拒否権限が大統領にあるかどうかなどを検討した内容が含まれている。チュ議員は「尹錫悦の内乱が事前に緻密に謀議されていたことが立証された」として、「与党(国民の力)も直ちに尹錫悦弾劾に加わるべきだ」と述べた。 国会国防委員会に所属するチュ議員はこの日、国会疎通館で記者会見を行い、防諜司令部の戒厳計画の詳細を記した「戒厳司令部-合同捜査本部運営参考資料」を公開した。チュ議員は、この文書は「ヨ・インヒョン司令官が自ら指示して彼の秘書室で作成され、11月にヨ司令官に報告されたもの」だと説明した。チュ議員はただし、軍の機密文書の特性上、情報提供者の保護のために文書内容を再構成したと述べている。 戒厳宣布の手続き、戒厳司令部の構成や役割などに関する法的争点を主に扱ったこの文書は、国会に戒厳解除を要求された場合、大統領が拒否権を行使できるか否かを最初の争点としている。チュ議員はこれについて、「国会の権限を制限しようとの試みを検討した可能性を示唆する」と述べた。文書は「国会の在籍議員の過半数が戒厳解除を要求した場合、大統領は拒否権がない」と説明しているが、実際に今回の内乱事態では、尹大統領は4日未明に国会で非常戒厳解除要求決議があがると、それを受け入れている。また「国民が戒厳に対する否定的な見方を持っているため、最大限国民の意識水準に合致した戒厳が実施されなければならない」という勧告も記されている。大統領室が戒厳解除後に外国メディアのインタビューなどで「国家経済と国民生活に対する被害を最小化するために、非常戒厳は夜間に実施された」ことを強調していることが思い起こされる部分だ。 特に注目されるのは、戒厳司令官として合同参謀本部(合参)議長ではなく各軍の参謀総長を任命できるかどうかを検討した内容だ。文書は「戒厳司令官は将官級将校の中から任命することになっているため、法的に問題はないが、作戦指揮権と職制上、戒厳業務を所管する合参議長が遂行」すると述べつつも、「動員と軍事作戦を支援する各軍の総長が適しているという意見が併存している」とも記している。そして、今回の内乱で尹大統領はキム・ミョンス合参議長ではなくパク・アンス陸軍参謀総長を戒厳司令官に任命している。 また文書には、1980年5月17日にイ・ヒソン戒厳司令官が発表した「戒厳布告令10号」の全文が添付されている。その中の「政治目的の屋内外の集会およびデモを一切禁じる」、「言論出版報道および放送は事前検閲を受けなければならない」、「サボタージュおよびストライキ行為を一切禁じる」、「デマのねつ造および流布を禁じる」などの内容は、パク・アンス戒厳司令官の名義で発表された布告令とかなり重なる。チュ議員は「過去の軍事政権の事例を踏襲し、戒厳を通じて国民を抑圧し、政権を永久化しようという陰謀」だとして、「必ず国民の審判を受けなければならない」と述べた。 _____________ [戒厳布告令10号全文(1980.5.17)] 1.1979年10月27日に宣布した非常戒厳が、戒厳法第8条の規定により、1980年5月17日24時を期してその施行地域を大韓民国全地域に変更されたことにより、現在発効中の布告を次のように変更する。 2.国家の安全保障と公共の安寧秩序を維持するため A.すべての政治活動を中止し、政治目的の屋内外の集会およびデモを一切禁じる。政治活動目的でない屋内外の集会は届け出なければならない。ただし、冠婚葬祭と儀礼的な非政治的純粋宗教行事の場合は例外とするが、政治的発言は一切認めない。 B.言論出版報道および放送は事前検閲を受けなければならない。 C.各大学(専門大学を含む)は当面のあいだ休校措置とする。 D.正当な理由なき職場離脱やサボタージュおよびストライキ行為を一切禁じる。 E.デマのねつ造および流布を禁じる。デマではなくても(1)前・現職の国家元首を冒とく・誹謗する行為(2)北傀(北朝鮮)と同一の主張および用語の使用(3)公共の集会での目的以外の扇動的発言および秩序を乱す行為は一切認めない。 F.国民の日常生活と正常な経済活動の自由は保障する。 G.外国人の出入国や国内旅行などの活動の自由は最大限保障する。 本布告に違反した者は令状なしに逮捕、拘禁、捜索し、厳重に処断する。 1980年5月17日 戒厳司令官 陸軍大将 イ・ヒソン ______________ [戒厳司令部布告令(第1号)] 自由大韓民国内部で暗躍している反国家勢力の大韓民国の体制転覆の脅威から自由民主主義を守護し、国民の安全を守るために、2024年12月3日23:00付で大韓民国全域に次の事項を布告します。 1.国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなどの一切の政治活動を禁じる。 2.自由民主主義体制を否定したり、転覆を企てたりする一切の行為を禁じ、フェイクニュース、世論操作、虚偽扇動を禁じる。 3.すべての言論と出版は戒厳司令部の統制を受ける。 4.社会の混乱を助長するストライキ、サボタージュ、集会行為を禁じる。 5.専攻医をはじめ、ストライキ中または医療現場を離脱したすべての医療関係者は、48時間以内に本業に復帰して忠実に勤務し、違反した時は戒厳法に則って処断する。 6.反国家勢力などの体制転覆勢力を除いた善良な一般国民は、日常生活への支障を最小化できるよう措置する。 以上の布告令の違反者に対しては、大韓民国戒厳法第9条(戒厳司令官特別措置権)に則って令状なしに逮捕、拘禁、強制捜索でき、戒厳法第14条(罰則)に則って処断する。 2024年12月3日(火) 戒厳司令官 陸軍大将 パク・アンス オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )