「ジャヌ東京」(麻布台ヒルズ)ペストリーシェフ野口ゆきえシェフが拓く食の新しい未来への提案
プラントベースのお菓子が持つ、新たな魅力と挑戦
ホテル自体がウェルネスに力をいれている「ジャヌ東京」。外国人の利用者も多く、グルテンフリー、ヴィーガンのお菓子や料理もそろっています。ジャヌ パティスリーにはグルテンフリーの焼き菓子も。特に野口シェフの視座はプラントベースで作られたヴィーガンのお菓子の世界に。写真の「ヴィーガンチョコレートムース」は、そんな野口シェフの想いが詰まったケーキに。プラントベースのチョコレートに、クリームはアーモンドミルク。中にはプラントベースのブラウニーやナッツ、ソイパフや季節で変わるフレッシュなフルーツが。Q.なぜプラントベースのお菓子、ヴィーガンの世界に興味を持たれたのでしょうか? 野口シェフ「あるときに食べたプラントベースのムースがすごく美味しくて、新しい可能性を感じました。ここ『ジャヌ東京』は世界中の人が集まり、ウェルネスに力を入れているところに共感し、ここで働くことを決意しました。“グルテンフリー、ヴィーガンに力をいれているところに入りたい“、“クリエイションしたい”と思ったんです。ヴィーガンのお菓子の世界は、私がイメージしていたヴィーガンのお菓子とは異なりました。“飲みこめない、ぼそぼそしている”それが従来のイメージ。フランス発の植物性代替卵のYUMGO(ユンゴ)など、新しい食材にもたくさん出会えました。」
多くの人が食で分かち合える喜び
野口シェフ「ハラルだからこれしか食べられない。グルテンフリーだとゼリーしかない。そうじゃなくて、誰が来てもみんなと一緒に同じものを食べられる環境を考えました。“つながり“というコンセプトを大事にしたいと思い、グルテンフリーやヴィーガンのお菓子に見えないような、そしてみんなの会話が弾むようなことを意識して作りました。その一つがこのマカロン『ジャヌロン』です。あえてマカロン4つ分ぐらいの大きなマカロンにしたのは“この1個シェアをして食べよう”というコンセプトです。みんなでワイワイ楽しめるように考えました。」Q.野口シェフがお菓子作りで大切にしていること、モットーを教えてください。野口シェフ「旬の食材と、そしてその先にいる生産者さんと向き合うことです。フルーツに限らず、前職は農家に行くことが多かったです。知り合った農家さんのものを使いたいし、そこでお手伝いをするときにたくさんの発見があります。生産者さんは、私たちの知らない食材の多くのことを知っています。苺をピクルスにしたら美味しいよとか、そんな食べ方や保存方法があるんだと毎回驚くことが多いです。自分が見て学んだことは、スタッフはもちろん、キッチンチームにも情報を共有しています。サステナブルな活動にも取り組み、本来なら破棄する食材を何かに使えないかキッチンチームと模索しています。」