包み隠さずノウハウ公開 「それが福岡の自然な流れ」 根底にある辛子めんたいこのエピソード【アビスパ福岡アカデミー密着⑤】
J1アビスパ福岡のU―18(18歳以下)が今季のプリンスリーグ九州で2位以内を確定させ、高校生年代の全国最高峰リーグ「高円宮杯U―18プレミアリーグ」への参入を懸けたプレーオフ(12月予定)に参戦する。日本クラブユース選手権で4強入りし、FWサニブラウン・ハナン(18)とFW前田一翔(18)の来季トップチーム昇格が内定。勢いに乗るアビスパの育成方針には全国から注目が集まっている。(末継智章) ■ミニのワンピ、女性警察官風衣装も…ハロウィン仕様コスチュームでチアが舞う【写真】 ◆ ◆ 9月2日と3日の両日。アビスパの育成組織は福岡市内にJリーグ複数クラブのアカデミースタッフらを招き、育成のノウハウを共有した。座学に加え、育成スタッフが、選手の個性を伸ばすことに特化した普段の指導方法を実演。C大阪や日本サッカー協会(JFA)などで長年育成年代の指導を手がけてきたG大阪の星原隆昭アカデミーダイレクター(AD)は「G大阪も良い選手を見いだし、育てているけど、(ノウハウは)一子相伝のようでどう残していくかというのがある。人材を漏らすまいと、個人のデータを取って蓄積している福岡の緻密さは後々にも結びつくと思うし、いい刺激になった」と関心をしていた。 今回の取り組みはJリーグが毎年行う「人材育成継続学習(CPD)」の一環。年4回のプログラムで、このうち1回は、Jリーグが目指す個性を伸ばす育成が進んでいるクラブに、全国からアカデミーのスタッフが集まって学ぶ。数年前に始まった企画で、アビスパは昨年に続き、2年連続で〝モデルケース〟に選ばれた。 実際には多くの生え抜きをトップチームに輩出し、日本代表にも送り込んでいるクラブは多いが、率先して他クラブに情報提供するところは珍しい。Jリーグフットボール本部・育成部の黄川田賢司氏は「同じような取り組みをしているクラブはあるが、『他のクラブを呼んでまでできるだけのものはない』と謙遜する。自分たちのノウハウを流出させたくないというのもあると思う」と推察している。 なぜ、アビスパは惜しげもなくノウハウを伝えるのか。アビスパの井上孝浩ADは「〝川原さん〟がやられたことで福岡が発展した。それが福岡の自然な流れだなって」と説明する。