包み隠さずノウハウ公開 「それが福岡の自然な流れ」 根底にある辛子めんたいこのエピソード【アビスパ福岡アカデミー密着⑤】
福岡名物を生んだ〝川原さん〟のイズムは…
井上ADが挙げた〝川原さん〟とは、めんたいこ製造販売の「ふくや」(福岡市)創業者の故川原俊夫さんだ。映画「めんたいぴりり」(江口カン監督)のモデルとしても知られる川原さんは、幼少期を過ごした韓国・釜山で食べていたたらこのキムチ漬けをヒントに辛子めんたいこを考案。特許を取らずに製法を広めたことで福岡名物となり、全国に知れ渡った。 「ふくや」はアビスパが経営難で存続危機に陥った2013年、先頭に立って支援。今もユニホームスポンサーにつくなど深い関わりがある。井上ADは「僕らアカデミーもみんなにシェアして提供すれば、日本サッカー界のレベルアップになる」と考えると同時に、福岡にとってのメリットも強調する。「表に出すことで僕たちも成長しようとしている。今回も教え方が素晴らしい方々の指導を間近で学べ、アビスパのアカデミーコーチの勉強にもなった。僕らはもっと上に行く」 〝僕ら〟とはアビスパだけではない。今回の取り組みに地元福岡でクラブチームを手がける指導者たちも招いた。1980年代から指導を続ける春日イーグルスの杉山活明理事長は「同じサッカーシーンとしてイメージを共有できた。自分のクラブだけで発展するのは難しいので、アビスパはすごく地域に貢献している。一時は育成では大分トリニータやサガン鳥栖が良く、アビスパは山あり谷ありだけど、かなり良くなっている。また九州を引っ張る立場になってほしい」と願う。多くの企業がせっさたくまして福岡の名産品になった辛子めんたいこのように、福岡のサッカー界全体もアビスパを中心に成長しようとしている。(おわり)
西日本新聞社