〈箱根駅伝〉花田監督が武井隆次、櫛部静二と築いた「早大三羽烏」時代…明らかに実力の劣る花田に当時の瀬古利彦監督がかけたやさしい言葉
今も忘れない瀬古利彦への感謝
実際、即戦力ルーキーの武井君と櫛部君は、1年目のトラックシーズンから関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)や東京六大学対校陸上競技大会などでエンジのユニフォームを着て活躍していた。 その傍らで、同じスポーツ推薦の立場ながら、私は補助員や応援要員でしかなかった。走れない期間、2人との差はどんどん大きくなっていった。 元気のない私を見かねて、瀬古さんは頻繁に声をかけてくれた。 瀬古さんはポイント練習のある日しか所沢には来なかったが、ケガで走れない私にも必ず声をかけてくれた。 「花田、足の調子はどうだ? 落ち込んでいてもしかたないから飯でも食いにいこう」そう言って、練習後に都内で待ち合わせて食事をご馳走してくれた。 また、瀬古さんから紹介された治療院の帰りには、瀬古さんが監督をしていたエスビー食品陸上部のクラブハウスに呼ばれ、夕食をご馳走してくれたこともあった。 ケガが良くなって、ようやく試合に出られるようになったのは7月だった。 その期間、腐らずにリハビリを続けられたのは、そうした瀬古さんのサポートがあったからだと今も感謝している。
---------- 花田勝彦(はなだ かつひこ) 1971年京都市生まれ。滋賀県立彦根東高校を経て早稲田大学人間科学部へ。3年時には箱根駅伝に総合優勝、4区区間賞(区間新)を獲得。1994年エスビー食品陸上部へ進み、1996年アトランタ五輪で10000m、1997年アテネ世界陸上でマラソン、2000年シドニー五輪で5000m・10000m日本代表。2004年に現役引退。引退後は上武大学助教授・上武大学駅伝部監督、GMOインターネットグループ陸上部監督などを歴任。2022年6月より早稲田大学競走部駅伝監督に就任。 ----------
花田勝彦
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