大阪北部地震で破損した鳥居 地元大工ら費用立て替え3年ぶり再建
大工自ら再建で費用を抑え、地元の後押し受け再建計画を開始
「拝殿自体が塗装をしていない白木造りなので、石よりも木の鳥居の方が合うし、防腐処理などメンテをきっちり行えば100年は保つ」と考えたほか「材木は買う必要がありますが、加工費については自分が頑張れば何とかなるとも思いまして」と、自ら再建を手掛けることで費用をある程度抑えられるという目論みもありました。 木又さんの再建構想を知った地元の人々からは、一の鳥居の再建を期待する声が相次いだそうです。 こうした人々の思いの後押しも受けて神社側に再建を申し出たところ、神社側は「ありがたい話」(米村さん)と歓迎。再建計画がスタートします。
銀行から借金して再建費用を立て替え
木又さんが作成した再建費用の見積もり額は約1300万円。地元住民や商店の寄付でまかなう算段ですが、それまでは木又さんが自社の取引銀行から借金して立て替えることに。お金を借りると、良材の産地である奈良県吉野産の樹齢200年以上というヒノキの丸太5本を購入しました。 当初、2020年9月の竣工を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況の中、寄付を募って再建するのは地元住民の理解が得にくい可能性があると考え、工事の開始を見送りました。
加工に手間も新型コロナ乗り越え再建
今年も、国から緊急事態宣言の発出と解除が繰り返される状況ですが「もうお金も払ってますし、寄付の集まりがよくなくても何とかなるやろ、それより今は暗いニュースしかないからちょっとでも明るい話題を提供したろ」と考え、思い切って工事の開始を決断。 ただ「実は、うちの作業場のスペースを鳥居の材木に結構取られてましたので、ええかげんはよ出したいな、という思いもありました」という裏事情も苦笑しながら率直に教えてくれました。 7月15日に材木の加工を開始。今月1日の時点では、参道の入口に鳥居を立ち上げ、完成に向けて一部作業を残すのみとなりました。 木又さんは「あのような大きなサイズの木の構造物は初めて。思ってたよりも加工に手間がめちゃくちゃかかり、二の腕もパンパンになるなど大変でしたけど、良い仕上がりになりました」と満足げな表情を浮かべました。
19日に竣工で地元住民「きれいね」と笑顔
19日午前に参道入口で行われた竣工(しゅんこう)式には、木又さんら再建に関わった人々や神社の関係者らが出席し、一の鳥居復活を祝いました。 周囲には地元住民の姿も多く見られ、このうち白髪の女性は木でできた新しい一の鳥居を見ながら「きれいね」と笑顔でつぶやいていました。 木又さんによると今後、市内の各戸に新聞折り込みチラシを配布するほか、クラウドファンディングも活用して寄付金を集める予定です。 また、神社側でも境内に寄付を募る張り紙を掲出中です。 (取材・文:具志堅浩二)