「植田ショック」後、市場との対話は?自民党総裁選と利上げの行方
■今後の利上げ、いつ?どこまで?
――それでは、今後の利上げについて見ていきたいと思いますが、まず、この先どこまで上がると見られているのでしょうか? 日銀は、データや状況が良ければ、この後、いわゆる中立金利、景気を冷やしもしないし、加熱もさせない、そこまで金利を上げていきたいという姿勢をとっています。1%近く、少なくとも0. 75%までは上げたいと日銀は考えていると思います。 ただ、0. 75%の前の0. 5%という数字、日本は0. 5%を超える金利をこの30年経験してないんです。ですから、0. 75%になったときにどういうことが起こるか、慎重に見ていくと思います。特に住宅ローンの変動金利に影響するわけですが、30年間金利が低かったので、変動金利を借りている人が多い。金利をあげるとローンの返済が滞る人が出てくるのではないかという心配はあります。企業の業績、賃金にも影響がありそうです。
――それでは次の利上げの時期についてはどうでしょうか。 いま、自民党総裁選の真っ只中で、ほぼ誰もが金利の引き上げはないと見ていました。次の10月も、まだ政治の嵐の中にあると見られ、追加の利上げはなかなか厳しいかと思います。来週の自民党総裁選で、日銀の政策にそんなに注目が集まっているというわけではないですが、全体としては、大規模な金融緩和から正常化への道筋は理解されていると思います。 ただ、高市さんが総裁、総理大臣になると、安倍政権の路線を継承するとみられます。いまの日銀の利上げは早すぎるという発言もありますので、高市さんが総裁になった場合には、利上げは遠のくと思います。また、どの候補でも経済対策はこのあと力を入れていくと思いますので、経済対策を打つ、それから予算編成をするという12月は、利上げは微妙かなと思います。 市場では12月に次の利上げをするという予測も一定あるんですが、どんな政権ができるか、政権との関係が非常に重要かと思います。 特に、植田総裁は、日銀出身の総裁でもない、財務省がバックにいる総裁でもない学者出身の総裁です。岸田政権の一本釣りのような形で総裁になりました。岸田政権の退陣で、後ろ盾がいなくなってしまうとも言えるんです。そんな中で、この後、植田総裁、植田日銀がどのように政権とのコミュニケーションをとって、足並みを揃えていくか、この後注目するポイントだと思います。 ――ここまで経済部の宮島解説委員とともにお伝えしました。ありがとうございました。 (9月20日午後4時頃放送)