韓国・45年ぶりの戒厳令、6時間で解除…「予定された敗北」尹錫悦大統領は一体なぜ?
【12月04日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は45年ぶりに非常戒厳令を布告したものの、わずか6時間で解除する事態となった。戒厳令直後に国会で190人の議員全員が賛成し、戒厳令解除決議案を可決したためだ。 ユン大統領は「度重なる弾劾や立法操作、予算の乱用で国家機能を麻痺させる無道な行為を即刻中止するよう国会に求める」と述べ、野党への不満を改めて示した。しかし、「非常戒厳令」という切り札が巨大野党の強烈な抵抗であっけなく崩れたことで、ユン大統領は政治人生で最大の危機に直面したとの評価がなされている。 ユン大統領は4日午前4時27分ごろ、龍山(ヨンサン)大統領執務室で、緊急国民談話によって戒厳令解除と戒厳軍の撤退を発表した。前夜に非常戒厳令を布告してからわずか6時間後、事実上失敗を認めた形だ。その後すぐに午前4時30分に閣議を主宰し、「戒厳令解除案」を議決した。 共に民主党など野党が国会の300議席中約190議席を占めている現状を考慮すると、そもそも勝算がない試みだったのではないかという批判が浮上している。ユン大統領としては、戒厳令布告とともに軍・警察を国会に投入し、国会による戒厳解除決議案の可決を阻止することを計画していたと見られるが、結果としてその目標は達成されなかった。 野党の議員・職員の徹底的な抵抗により戒厳軍の国会本館進入が遅れ、その間に本会議場では在籍議員190人全員の賛成で戒厳解除決議案が可決された。この中には与党・国民の力の議員18人も含まれていた。チュ・ギョンホ(秋慶鎬)院内代表ら親ユン(ユン大統領支持派)の与党議員50人余りは本会議に参加せず党本部で事態を見守るだけで、味方としての役割を果たせなかった。 憲法第77条第5項によると、国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない。仮に大統領が解除を拒否しても、解除要求案が議決された瞬間に戒厳軍の活動は法的根拠を失う。このため、ユン大統領に残された選択肢は多くなかった。 国会の戒厳解除要求を受け入れたユン大統領だが、45年ぶりの非常戒厳令が引き起こした後遺症は計り知れないものになりそうだ。共に民主党など野党はユン大統領の戒厳令布告に対して「内乱罪」を適用すべきだと主張している。憲法第60条によると、大統領は内乱または外患罪を犯した場合を除き、在任中は刑事訴追を受けないとされている。そのため、内乱罪が適用されれば、現職大統領であっても起訴や処罰が可能だ。内乱罪の場合、刑罰は死刑、無期懲役、または5年以上の懲役となる。 内乱罪が適用されない場合でも、ユン大統領に対する国会の弾劾訴追手続きが進められる可能性が高い。野党議員を中心とした「ユン・ソンニョル弾劾議員連帯(弾劾連帯)」は、ユン大統領に対する弾劾訴追案の発議を進めると表明した。これまでイ・ジェミョン(李在明)民主党代表らもユン大統領の弾劾を求める街頭集会に継続的に参加してきた。また、今回の戒厳解除決議案の可決に与党議員18人が参加した点を踏まえると、今後、与党内の分裂の可能性も予測される。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
KOREA WAVE