城氏が提言「香川ー乾と本田ー宇佐美ら4人をコロンビア戦では交替すべき」
“W杯前哨戦”を全敗のままで終えて開幕を迎えるのと、最後に勝ってロシアへ行くのではチームメンタルは大きく違う。選手とは現金なもので、肉体の疲労度は、そう変わらないが、勝てば、疲れを感じなかったりするもの。W杯出場を逃しているパラグアイのチーム力を考えると、この勝利を諸手を挙げて喜ぶわけにはいかないが、ガーナ戦、スイス戦と続いた連敗の流れを変えてロシアへ乗り込める意義は大きい。 疲労の蓄積を避ける主力のコンディション調整や、控え組のモチベーションなどを考えてスタメンを10人入れ替えたのだろうが、結果だけでなく、彼らの動きもスイス戦の11人よりもよく見えた。きっと西野監督もW杯初戦のコロンビア戦のメンバーについて頭を悩ますことになったのではないか。 目についたのは、香川―乾のコンビと、柴崎―山口のボランチコンビだ。 後半6分に同点に追いついたゴールは、昌子から縦に入ったパスを香川が受けてフォローした乾がドリブルで突破してから決めたものだが、縦にボールが出た瞬間に3枚目の乾が連携して動きだしていた。 後半18分の勝ち越し点も武藤が右サイドから入れたボールをディフェンスをひきつけておいた香川がワンタッチで流して、そのタイミングを予知していたかのように走りこんできた乾がゴールネットを揺らした。2人の呼吸は絶妙だった。セレッソ時代に2シーズン共にプレーしたタイミングを覚えているのだろう。 怪我の影響が心配された乾は、不安を打ち消した。もっとキレは出てくるだろうが、リーガでの経験と自信が結果につながった。スタメン起用でリズムもつかめたのだと思う。 香川は途中出場となったスイス戦からコンディションが良くなっているように見えていたが、この日は、さらにもうワンランク上昇した。元々、技術のある選手。そこにコンディションとメンタルの自信が上乗せされ本来の香川の姿を取り戻したかのようである。 そして香川の特筆すべき部分は、守備でも十分な仕事をしたことだ。 攻撃では縦のポジションにあった岡崎と、守備では横並びのポジションを作り、2トップの形でボールを追い、プレスを効かせて、ボールの奪い所を明確にした。大きな守備への貢献だ。スイス戦では、本田の運動量が追いつかず守備面での不安も残したが、攻撃の連携力と守備力のトータルで見て、本田―宇佐美のコンビよりも香川―乾の方が面白い。結果も出した。思い切ってコロンビア戦では、この2人にスタメンを替えてみてはどうだろうか。 柴崎―山口のボランチコンビも光った。柴崎の縦への意識が相手ディフェンスを揺さぶった。最終ラインの裏を狙うパスも効果的だった。リーガでプレーしている落ち着きがいい方向に出ていた。危ない場面もあったが、スイス戦で抜擢を受けた大島との経験値の差が際立った。柴崎を守備的にカバーしてバランスをとった“キャプテン”山口も安定していた。 柴崎が自由にプレーできたのは、山口の存在があったから。まだコンディションが不十分な長谷部ならば、ここまでのカバーの動きができただろうか。私は、この2人も思い切って長谷部―大島と入れ替える考え方もありーーだと提案したい。