健康食品「こんなに効く」というCMが信用できない納得事情
医食同源という造語が作られたころは体を動かす労働が主体であり、十分な運動量が確保されていました。ところが、近年体を動かす仕事は少なくなり、ほとんどがホワイトカラーとなりました。 さらに、交通インフラの発達により、通勤でさえ運動にはならなくなったため、今では運動や休養は自らのお金を使い、意識し努力しなければ得られないものになってしまいました。しかも誰もが適度な運動や休養を簡単に得られるわけではなく、時間的にも経済的にも余裕がある人の特権となりつつあります。そんな時代的な背景もあって、健康食品が着目されるようになったのです。
■健康食品の標的となった疾患 一時代前の健康食品は、食生活の変化からビタミンなどの摂取不足の栄養成分を補充する目的のものがほとんどでした。ところが、近年の食生活は飽食の時代とよばれるように、栄養面での不足よりも栄養の過剰摂取が問題となったことから、メタボリックシンドロームなどの過食が原因の疾患を標的にした健康食品が主流になってきました。 さらにその傾向は変化していき、より需要の多い疾患に対する健康食品を開発する傾向に加速していきます。その結果標的となった疾患が変形性関節症です。
変形性関節症とは、関節の構成成分である軟骨がすり減ってしまい、関節の形態が著しく変形してしまう病気です。軟骨がすり減る以外にも関節内で多くの変化が生じるため、関節の痛みや腫れなどが現れます。自身の体重の負担が多い荷重関節によくみられる関節症です。特に、股・膝・足関節でみられることが多いですが、非荷重関節でも頻繁に動かすことの多い、肘関節では頻度は少ないものの生じることがあります。 この疾患の治療や発症リスクの軽減には、適度な運動を行い、体重を減らし、筋力を保つことが重要です。しかし、発症は高齢者が多く、現実にはそのような生活習慣の改善はうまくいかないケースがほとんどです。そこでさまざまな健康食品がこの変形性関節症を標的に開発されました。例えば、グルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカン、コラーゲンなどがあります。