「レコード」が見直される6つの理由と今聞きたいおすすめ名盤リストを数千枚のレコードを所有する音楽ライターが解説
ジャンル別おすすめトラックリスト
東京・渋谷にあるレコードショップ「Face Records MIYASHITA PARK」の品揃えのなかから、新譜、中古盤を織り交ぜながら、ジャンル別にビギナーにおすすめのレコードを6枚セレクトしていただきました。 ・J-POP/シティポップ J-POP/小沢健二『LIFE』 「『ラブリー』、『今夜はブギー・バック』といった小沢健二の代表曲を収録する、90年代のJ-POPを象徴する名作です。こちらはオリジナル盤のリリースからちょうど30年目となる今年、リリースされたばかりの再発盤で、往年のファンはもちろんのこと、今まで小沢健二を聴いたことのない人にも、ぜひアナログレコードで味わってほしい作品です」 シティポップ/山下達郎『FOR YOU』 「世界的にもブームとなっている日本のシティポップを代表するアーティストとして真っ先に名前があがるのは、はやり山下達郎でしょう。このアルバムはそんな山下達郎作品のなかでも最高傑作のひとつに数えられ、1曲目の『Sparkle』から鳥肌が立ちます。イラストレーターの鈴木英人氏が手がけたアルバムカバーもぜひレコードサイズで堪能してください」 ・ジャズ/ソウル・ファンク ジャズ/John Coltrane『A Love Supreme』 「アナログレコードが似合うジャンルと聞いて古いジャズサウンドが思い浮かぶ人は多いでしょう。ジョン・コルトレーンは、数々の作品を残している名サックスプレイヤーですが、その代表作とも言えるのがこのアルバム。モダンジャズの最高傑作のひとつとも言われています。また、この時代のジャズ作品はジャケットデザインがめちゃくちゃかっこいいのも大きな魅力です」 ソウル・ファンク/Curtis Mayfield『Curtis』 「オリジナル盤は1970年のリリースですが、このアルバムに収録されている『Move On UP』はテレビ番組のBGMなどで聴いたことがある人も多いのではないでしょうか。ちなみに写真のレコードは90年代に日本盤としてリリースされたものですが、日本盤特有の『帯』は海外のレコード愛好家にも『Obi』と呼ばれ親しまれていて、帯付き盤は非常に人気が高いです」 ・ヒップホップ/フュージョン ヒップホップ/Q-Tip『Amplified』 「90年代のヒップホップシーンを代表する伝説的なグループ、トライブ・コールド・クウェストの中心的な存在であったQティップの1stソロアルアバムです。1999年リリースの作品ですが今聴いても古さを感じさせないダンサブルなサウンドで、ホームパーティのBGMなんかにもめちゃくちゃフィットすると思います」 フュージョン/Thundercat『Apocalypse』 「便宜上フュージョンとしましたが、ジャズ、ソウル、ファンク、エレクトロニカなどさまざまなジャンルの要素が盛り込まれたベースプレイヤー、サンダーキャットの2ndアルバムです。2013年リリースの作品なので、サウンド的には現代的な作りではありますが、こういった作品こそ、あえてアナログレコードでじっくりと聴き込んでみるのも面白いです」 音楽ライターが選ぶ人生を変えた名盤 せっかくの機会なので最後に、音楽ライターとして30年近く音楽の世界に身を置く大前さんにとっての“名盤”も教えていただきました。 Yellow Magic Orchestra『Yellow Magic Orchestra』 「小学校高学年の頃にお小遣いを貯めて買った思い出のレコードで、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の1stアルバムです。YMOの存在によって『世の中にはこんなにいろんな種類の音楽があるんだ!?』ということに子どもながら気づかされて、そのときに生まれた音楽に対する好奇心や探究心が、その後、自分が音楽ライターへ進むきっかけになったのは間違いないです。そういう意味では自分の人生を方向づけてくれたレコードとも言えますね」 ストリーミングの時代だからこその、あえてのアナログレコードという選択。それがたとえファッションから入ったとしても、音楽に対する意識を大きく変えるきっかけになるかもしれません。休日にふらっとレコードショップに足を運んで、ぜひあなたの人生にとっての初めてのレコードを手にしてみてください。