低賃金な上に面倒な客やハラスメント体質も...人手不足業界の人々が訴える惨状
物価高が続く今、賃金動向が日本経済の明暗を分けそうだ。ところが直近の発表では、実質賃金は2年連続でマイナスを記録したという。大手企業を中心に広がる賃上げはどこまで波及しているのか? 徹底的な現場目線でその実態を調査した! 離職率高し。その上人員の補充はされず......。現場は常にギリギリ。それでもなんとか回っている人手不足な職場にフォーカスした!【みんなの給与明細 2024年春闘真っ盛りver. Part5】 *本特集に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人の取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません ■勘弁して! 付け焼き刃の知識を振りかざす客が増加中 ・不動産仲介業者 店長(女/30代前半) 〈年収〉【額面】650万円〈冬のボーナス額〉200万円(前年比↓ 年1回夏支給)〈ベアは?〉なし 首都圏某所の地域密着型不動産仲介業者で、賃貸を担当。 家族経営の中小企業で、社長の気まぐれに振り回される日々は非常にストレスフル。圧倒的な人手不足の中、家族の用事で出かけてしまうことがしばしばあり、不信感は募るばかり。 また、最近はSNSで見た情報を振りかざし、「仲介手数料は本来0.5ヵ月分のはずだから、1ヵ月請求するのは違法!」などと言われることが増えている(しかも知識が微妙に間違っている)。そうした手合いは入居後もうっとうしいこと間違いなしなので、「その部屋は埋まっちゃいました」と追い払っている。 ■給料よりも大切な心の平穏をゲット ・リゾートホテル 清掃員(女/20代前半) 〈年収〉【額面】260万円〈冬のボーナス額〉なし〈ベアは?〉なし 都会の生活に疲れてしまい、念願の沖縄に移住した。入社の際、フロント業務のほうが給料がいいと勧められたが、人と接したくなかったので清掃員を選んだ。この業界も慢性的な人手不足なので、選択の余地があるようだ。 確かに給料は安く、ボーナスもベアも無縁だが、面倒な人間関係や飲み会がなく、とにかく気楽。それに寮完備で食事も出るため、仕事の日はほとんどお金を使わないので助かっている。むしろ東京にいたときよりも貯金はたまっているかもしれない。 特にスキルが身につくわけではないが、毎日海を見られる生活に満足している。