衆院補選の乙武氏に暴漢が…「他候補妨害」の余波で「警備が手薄」乱入男を取り押さえる瞬間の現場写真
衆院東京15区補選に無所属で立候補した作家の乙武洋匡氏(48)が惨敗した。 乙武氏は出馬前に小池百合子東京都知事(71)が支援する「ファーストの会」副代表に就任。ファーストの会と国民民主党からの支援を受け、街頭演説には小池都知事と国民民主党の玉木雄一郎代表(54)が何度も応援に駆け付けた。 【緊迫の瞬間】選挙運動中の乙武氏に向かって突進した男が選挙運動員に押さえつけられる瞬間 本補選は9人の候補者が乱立。その中で圧倒的知名度を誇る乙武氏を小池氏が全面バックアップするという構図だったが、開票後すぐに立憲民主党の酒井菜摘氏(37)の当選確実の速報が流れた。 「小池都知事にとっては、自身に向けられた学歴詐称疑惑の話題を逸らす意味でも負けられない選挙でした。連日のように乙武氏に帯同し、選挙カーに乗り込みウグイス嬢も買って出ました。しかし、次点は、完全無所属で出馬した須藤元気氏(46)。乙武氏は5番手ですから惨敗です。 目黒区長選に続く連敗ですから『選挙に強い』とされてきた小池都知事の影響力の陰りを印象付ける結果となってしまった。乙武氏にとっては、小池都知事の存在が、かえってマイナスに働いた可能性は否めません」(全国紙政治部記者) 落選し、傷心の乙武氏だが、不運は他にもあった。選挙期間中、暴漢に襲われそうになる事件が起きていたのだ。本誌はその一部始終を目撃していたーー。 〈オイッ!乙武。テメェー何しに来たんだっ!〉 4月21日午後7時頃、JR亀戸駅前に乙武氏の選挙カーが横づけされ、歩道に乙武氏、応援に駆け付けた小池都知事、玉木代表の3人が並び立ち街頭演説が始まった。開始から30分ほどが過ぎ、玉木代表の演説中に、通りがかった男が怒鳴りながら乙武氏に詰め寄ったのだ。 「乙武氏陣営のスタッフが2人の間に割って入り男を遠ざけたが、次の瞬間、男は乙武氏をめがけて突進しました。一瞬の出来事で、止めに入ったスタッフが男に押し倒されると周囲から『現行犯!現行犯!』という声が響き渡りました」(聴衆の一人) スタッフ数人で男を取り押さえ、警察に通報。出動したパトカーのサイレン音と演説の声が混じり合い、現場は騒然となった。男は駆け付けた警官に対しても興奮した状態で「乙武の演説を止めさせろ!」と怒鳴りながらもみ合いとなり、激しく抵抗するが、パトカーに押し込まれ連行。暴行容疑で逮捕された。 「演説を聞いていたら男の怒声が聞こえてきました。男が私の目の前を通り過ぎたのですが、すごく酒臭かったのを覚えています。SPの数も少なく、男は乙武さんの1メートル前ぐらいまで迫っていました。少しでもスタッフの対応が遅れていれば本当に危なかったと思います」(別の聴衆の女性) 安倍晋三首相銃撃事件以来、街頭演説では厳重な警備が敷かれるようになったはずだが、なぜ警備は手薄だったのか……。 「今回の選挙では同選挙に立候補した『つばさの党』の根本良輔(29)陣営が他候補者の演説中に大音量で質問や罵声を浴びせるなどの妨害行為を行っていたことが問題となっていました。妨害を避けるために各陣営は街頭演説スケジュールを公開できず、ゲリラ的に街頭演説を行うしかありませんでした。そのため事前にSPを配置するのが難しかったのかもしれません」(前出の全国紙記者) こうした行動は、国会でも議論を呼び、22日の衆院予算委員会で岸田首相は、 「選挙制度の根幹に関わる事柄として、各党、各会派で議論するべき課題だ」 と述べた。野党の一部も、規制強化に向けて公選法改正の議論を始める考えを示している。 逮捕された男は『つばさの党』とは無関係だったが、時事通信によると職業住居不詳の41歳。暴行容疑から公選法違反(選挙の自由妨害)容疑に切り替え、身柄を送検されたという。 選挙妨害と暴漢被害を受けながらも戦い抜いた乙武氏だが結果は惨敗。今後については未定としているが、再び立候補することはあるのだろうかーー。
FRIDAYデジタル