新NISAつみたて投資枠対象投信研究(3)、バランス型残高トップは株式と債券を半々、パフォーマンスは?
一方、対象投信のパフォーマンスを比較すると、過去3年(年率)トータルリターンのトップが「ハッピーエイジング20」の17.85%だ。この投信は、国内外の株式と債券に分散投資するが、株式への投資比率を90%としてシリーズ5ファンドの中で最も積極的にリスクを取る運用を行う。運用コストは年1.617%(税込み)でやや高い設定になっている。次に、「ターゲット・デート・ファンド(ベーシック)2060」が16.7%になった。国内外の株式や債券に投資するが、ターゲット・デートとした2060年に向けて徐々に株式への投資比率を小さく、債券への投資比率を高くして安定運用にしていく運用を行う。2024年3月末時点ではターゲット・デートまで35年以上という長い期間があるため、株式への投資比率が97.5%とほぼ株式だけのポートフォリオの内容になっている。運用コストは年0.3696%(税込み)と比較的低い。そして、第3位は「NZAM・ベータ 米国2資産(株式+REIT)」で16.63%。米国株式と米国REITに均等に投資する。運用コストは年0.407%だ。
バランス型のパフォーマンスは、株式やREITなどのリスク資産に投資している比率が高いほど、株価が上昇している局面では高いリターンになっている。上位3ファンドは、リスク資産への投資割合が90%以上のファンドばかりになった。株式100%のファンドよりもややパフォーマンスが劣る結果になっている。ただ、これは2024年まで株価が日米欧ともに史上最高値を更新するという株高局面にあったことが背景にある。当然、これまでとは逆に株安局面となれば、株式への投資配分が高いファンドほど、マイナス方向に大きく動くことになる。現在のパフォーマンスだけで将来を決めてしまうわけにはいかないという点は留意したい。
また、2020年3月の「コロナ・ショック」によるロックダウン(都市封鎖)などによって世界経済が麻痺した状態を復活させようと、世界的に「ゼロ金利政策」を実施して金利水準を低く誘導したため、ここ3年あまりにわたって債券への投資は非常に難しい局面にあった。金融政策の正常化に向けた調整が各国で行われており、今後は債券投資の魅力も復調してくる見通しだ。これまでの株式優位の市場でバランス型投信の人気が離散してしまっていたが、今後は株式一辺倒の流れが変化していく中で、バランス型の復権も進むと期待されている。株式が良くても悪くても安定的な運用成績が期待できるバランス型は、資産運用のコアとして使われてきただけに、改めてその効用について研究したい。(グラフはつみたて投資枠のバランス型ファンドの過去3年間のパフォーマンス)
ウエルスアドバイザー