今後「デジタル化」が進んだら…株式会社大林組DX本部長が考える“2つの変化”とは?「“いかに人間として思考を働かせるか”ということが増えるはず」
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。9月28日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社大林組 常務執行役員 DX本部長の紅林徹也(くればやし・てつや)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
紅林さんは1985年に日立製作所に入社。公共分野のSE・情報事業の企画に携わり、その後グループ会社の役員を歴任。2015年には日立製作所より内閣府に出向し、Society 5.0の策定に従事。2023年に大林組に入社し、常務執行役員 DX本部長に就任しました。
◆建設技術のレベルが高い日本の“課題点”とは?
建設業界におけるDXがどんどん進んでいくなか、日本屈指の総合建設会社(スーパーゼネコン)である大林組でDX本部長を務める紅林さんに、笹川が「今後の建設業のあり方や求められることの“変化”については、どのように考えていますか?」と質問すると、「なかなか難しいテーマですが、少なくとも国内の建設業におけるデマンド(需要)って安定的ではあるけれども、大きく伸びていくとは正直思いにくいです」と紅林さん。 その理由として、過去の公共工事で建設した橋や高速道路、建築物などは、経年によって修理や修繕が必要になったり、劣化の度合いによっては建て替えなければならないケースもあるため、「建設のニーズはこれからもずっとあるので、デマンドとして保証されてはいるんです。しかし、今後さらに大きくなるかというと、大きくはならないんですね。“成長”という言葉には、どうしても量的な拡大がついて回る側面があるので、今後の建設業の成長を考えると、おそらくグローバル化、海外事業に取り組んでいくことは避けて通れないだろうと予想しています」と語ります。 また、現在の日本における建設技術のレベルの高さについては、「海外に比べて、アドバンテージは明らかにあると認識しています。ただし、長い目で見たときに、『ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)施工』の活用など、デジタルを最大限に活かすということに関して、日本がこのままの状態で留まってしまうと、いつか海外に抜かれてしまうかもしれない。そのためにも、デジタル活用の度合いをスピードアップしていくことは、日本の建設業においても非常に重要です」と課題点を挙げます。