今後「デジタル化」が進んだら…株式会社大林組DX本部長が考える“2つの変化”とは?「“いかに人間として思考を働かせるか”ということが増えるはず」
◆大林組が目指すDXの理想像とは?
続いて、大林組が目指す“DXの理想像”について伺うと、「それが一番難しい問題で、なおかつ私が希求しなければいけない問題」としつつ、ポイントとして“時間軸を正しく見積もること”を挙げます。 「世の中でよく言われているDXのイメージは、どちらかというと『ビジネスライフサイクルが短くて、ものすごくスピードが速いビジネス領域』の話なんです。一方で、建設業は(建設業法があるため)規制業種でビジネスライフサイクルは長く、デマンドもある程度保証されている。焦る必要はありません。このスピード感を理解して進めないと、無駄な投資が増えてしまうと思います」と推測。 さらに、「(建設業界における)“教科書的なDX”のなかには、実は着手できていない部分もあるので、足元からしっかり対策、対応を固める必要がありますが、それらは事業それぞれのビジネスモデルやビジネススタイルの変化に合わせて“どれぐらいのスピード感で実行すればいいのか”“デジタル活用という視点の前に業務そのものの適切な見直しを行う”といったように対応方法を見極めることも必要です」と言及します。
◆デジタル化が進むと私たちの生活はどう変化する?
最後に、笹川が「デジタル化が進むと、私たちの生活や働き方にどんな変化があると思いますか?」と問うと、紅林さんは2つのポイントを挙げます。 1つ目は、「自動化の進展によって個人が労力を費やす、あるいは注力する領域が絞られてくる」という点。AI(人工知能)と人間の仕事の棲み分けにおいて、人間は“AIではできないクリエイティブなことに取り組む”と言われていますが、「クリエイティブなこともAIがある程度できてしまう時代にすぐになりそうな気がする。そうなったときに、本質的な部分に関して“いかに人間として思考を働かせるか”ということが増えてくると思っています」と推測します。 そして、2つ目のポイントとして“感性”を挙げ、今の時代は「モノが飽和してきている。モノからコトへと変わり、人がコトを楽しむようになっているじゃないですか。その変化はやっぱり大きいと思います。例えば、スマートシティ(ICT 等の新技術や官民各種のデータの有効活用した各種分野のマネジメントを通じて、人々により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域)とか、いろいろな新しいデザインにチャレンジするのは、どちらかというと、そっちに近いですよね」と話していました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」9月28日(土)放送より)