フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ
内装 ★★★★★★★★☆☆
トゥアレグがスポーティに装ったことはこれまでなかったし、売れ筋となるだろう仕様で、万能性や快適性、機能性や心地よさ、そしてちょっとだけ主張を抑えた感じを見出せることに安心感を覚える。 ダッシュボードや運転席周りには、今風のマテリアルの華美さも見られ、フェイスリフト前よりピアノブラックのトリムがやや増えた。また、より豪華なソフトタッチの素材が、ドアトリム上部やフットウェル周辺に用いられている。それでも、光り物は節度を持って使い、いっぽうでコストをケチった感じはない。 淡色のレザーとパノラミックルーフは、キャビンに開放感を与える。ライバルにはもっと広大で高級感漂うものもあるが、スペースは有効活用されている。フロントシートは秀逸で、座面も背面も調整範囲が広く、ヘッドレストは独立調整が可能だ。 後席は3座で、背が高いとゆったりできるほど広くはないが、スライドとリクライニングを備え、乗員をかなりしかりサポートしてくれる。エアコンや収納エリアも、それぞれの席に応じて用意される。 荷室は、バッテリーの配置によってフロア下収納がなくなっており、荷室の高さも制限されるが、奥行きと幅は大きい。2種類の充電ケーブルを収納するスペースがないので、大きめの収納バッグが常に荷室の一部を占拠している状態だが、クリップでフロアに固定できるので、走行中に動いてしまうことはない。とはいえ、いい加減この手のクルマのケーブル収納場所問題は、いい解決策が見つかってもいい頃だ。
走り ★★★★★★★★☆☆
PHEVのフルサイズSUVとしては手頃な価格帯であるものの、ベースエンジンはマルチシリンダー。レクサスRX450h+やメルセデス・ベンツGLE400e、ランドローバー・ディフェンダーP300eなどをはじめ、ダイレクトに競合するモデルは多くが4気筒ベースだ。それだけに、加速ペースは順調なはずだ。 たしかに、4気筒ベース車のいくつかと比べて、加速性能はやや上回る。0-97km/hはよく晴れたドライコンディションで6.2秒だが、おそらく0-100km/h公称値の5.9秒より多少早いタイムも出るはずだ。とはいえ、トルクコンバーターATとトルセン式センターデフという、とくに弾けるような発進加速を生む駆動系ではない。また、変速ありの中間加速は48-113km/hが5.7秒で、RX500hの5.5秒にはわずかながら遅れるが、レンジスポーツD300の6.6秒よりはかなり力強い。 電気モーターが効率的にパワーデリバリーのギャップを埋めてくれて、トルクの満ちた感がある。停止かごく低速での走行からスロットルペダルを踏み込んでいくと、電気モーターはややそっけなく、トルクはギアボックスやディファレンシャルのフリクションと戦いながら進んでいくが、トゥアレグの加速には奇妙なほど一貫したところがある。たとえば3速での中間加速では、97-129km/hと48-80km/hの差が、0.8秒しかないのだ。 パフォーマンスの強さも印象的だ。バッテリー残量が完全に尽きた際にスタンディングスタートを再計測したが、ハイブリッドシステムが大きく貢献していたと言えるほどのタイム低下は見られなかった。 8速ATの変速は極めてスムースで、パドルに対する反応も素早い。ブレーキペダルのフィールは十分にプログレッシブで、効きはじめの不自然さはひどくない。