「いい曲なのになぜか怖い…」歌詞や映像が強烈すぎた『みんなのうた』のトラウマ曲たち
■大人になって気づく怖さ?!ホラーチックなポップソング『メロンの切り目』
細川ふみえさんが歌う『メロンの切り目』が放送されたのは1993年のこと。作詞・朝水彼方さん、作曲・川村結花さんによって制作されており、日本を代表するアニメーター・もりやまゆうじさんが映像を手掛けている。 楽曲の中では、ロングヘアの女性が彼の家でエプロンをつけ、サラダを作りながらけなげに彼を待つ……という恋する乙女の可愛い姿が映し出される。もりやまさんのイラストゆえ、イラストは大人っぽく、まるでアニメを見ているような美しさだ。曲調もポップで、細川さんのふわふわした声とよくマッチしている。 ただ、この曲が怖いと言われるのはその歌詞だ。子どもの頃はピンとこないが、大人になると改めてその怖さに震えるという「時差型トラウマ曲」なのである。 まず、この曲の主人公女性は“彼に叱られること”を目的に、こっそりスペアキーで男性宅に入っている。メロンに切り目を入れて自分の存在を示そうとしているあたり、彼は彼女が家に上がっていることを知らないのだろう。しかも、歌詞から読み取る限り、連日入り込んでいるようなのだ。 その後、彼女は彼を待たず、サラダを作りエプロンをあえて置いて家を出るが、二人の関係は曲中で明かされていない。スペアキーも、貰ったものなのか勝手に作ったものなのか判別がつかない。可愛いイラストと、一歩間違えればストーカーに見えてしまう内容に、ちょっとしたゾクゾク感が味わえる楽曲である。 トラウマ曲と一言で言っても、映像が怖いものもあれば歌詞が怖い曲もあり、トラウマの方向性も様々だ。人によって怖いと感じた楽曲は違うが、どの曲もインパクトが強いからこそ長きに渡って人々の記憶に残るのだろう。
さえきしの