ジャガー、全車種廃止まで数か月? 1年間は新車販売なしか 12月に新型EVコンセプト発表
新車販売に「空白期間」も
ジャガーがEVシフトを進める中、競合他社は高級EVの需要が頭打ちになっていることを受け、電動化戦略を調整している。例えば、ポルシェは2030年以降もガソリンエンジンのカイエンの生産を予定している。アウディはハイブリッド車への注力を大幅に強化し、メルセデス・ベンツはEV販売が「予想より低迷している」ため、一部のプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売予定期間を延長した。 ジャガーの親会社であるJLRでさえ、包括的なEV戦略を調整し、150億ポンド(約2兆8200億円)の電動化投資パッケージを180億ポンド(約3兆3800億円)に引き上げた。消費者がEVに消極的な分野をカバーするため、ランドローバー向けに柔軟性のあるプラットフォームを開発できるようにした。 しかしグローバー氏は、ジャガーのブランド再ポジショニング、技術的優先事項、新時代のデザイン言語が、市場での魅力を高めると確信している。「我々の製品、そしておそらく次世代の製品は、業界全体の認識に大きな違いをもたらすと思います」と彼は言う。 「現在のところ、EVを所有する上での合理的な障壁はまだ残っています。航続距離への不安とインフラ、そして公共の場で充電する必要性です。そのひとつひとつを順番にクリアしていけば、我々のクルマはすべて大きなレバレッジを持つことになります」と、ジャガーの次期EVの航続距離の長さと急速充電の速さに言及した。 また、ジャガーブランドは高価格で販売台数を抑えているため(最大でも年間5万台)、主流の市場トレンドにあまり左右されないとも述べた。「我々は台数よりも価値を重視してきました。それが今の価格帯を選んだ理由です」 「EV市場の発展が無関係だとは言いませんが、もっとコモディティ化したボリューム・セグメントにいた場合よりも、関連性は低いと思います」 新時代の幕開けを前に、ジャガーは英キャッスル・ブロムウィッチでのXE、XF、Fタイプの生産を終了し、オーストリアにあるマグナ工場でのEペイスおよびIペイスの生産も年内に終了する。Fペイスだけは2025年まで生産が継続されるが、グローバー氏は今年末までに欧州の一部市場で「新車販売を終了する」と述べ、英国でも「来年初頭から」それに続くとした。 また、英国では新型4ドアGTの本格導入は2026年以降になるという。つまり、地域によってはジャガーの新車が販売されない期間が約1年間続くことになる。その間、販売店では中古車とアフターサービスに注力することになるが、「そうですね、ジャガーを購入できない期間も出てきます」とグローバー氏は述べた。
フェリックス・ペイジ(執筆) スティーブ・クロプリー(執筆) 林汰久也(翻訳)