「驚異の肉体を持つ91歳」最愛の妻を看取って22年、“世界一の超人”が実践する「一人きりで生きる“老後の戦略”」
戦時中の反動か、中学校以降はさまざまなスポーツに手を出す。キャプテンに憧れて体操部に入部。鉄棒の大車輪に失敗して砂場に落下後、即退部して陸上部へ。 100m走の補欠が続き、野球部にも所属。投てきでならした肩が活きて、たった一人のピッチャーに抜擢されるも、とある対抗試合で打たれに打たれて、記録的惨敗を喫する。 「あまりにみっともなくて」と大会後に退部。高校では卓球、サッカー、テニスに飛びつくが、長続きしない。
そんな稲田さんは大学時代に登山に出会う。重い荷物を背負って、山道を長い時間、黙々と歩き続ける。これがはまった。 「これまでの運動の歴史を振り返ると、僕は瞬発力や敏捷性が必要なものはどうもダメ。でも登山は長くしぶとくゆっくりと動き続けることが肝要で、せっかちな僕なのにこれがストンと腑に落ちたんです」 長くしぶとくゆっくりと動き続けるーー。老化が進み、気力も体力も衰えていく人生の後半戦をどう生きるか。稲田さんの戦略はこれである。
「夢中になれるものを見つけたら、自分のペースでやってみる。継続できたら、それが進化なんです。僕は老化の先に自分の進化を見つけると、すごくうれしくて、『俺は生きているぞ~!』と叫んじゃう。誰もいないところでですよ、もちろん(笑)」 【写真】驚異の肉体を持つ91歳! 77歳の時と肉体のピークだったという85歳の時の身体を見比べる(7枚)
桜井 美貴子 :ライター・編集者