他社が縮小するなか ウォルマート がメタバース事業に投資を続ける理由。売上に寄与する戦略はあるのか?
ターゲットはZ世代
パンデミックの後、従来の店舗での買い物体験を超えて消費者を惹きつける方法を小売業者が試行錯誤するなか、バーチャルストアの人気が急上昇した。だがJ.クルー(J.Crew)のバーチャルビーチハウスストアや、エリザベス・アーデン(Elizabeth Arden)の歴史的な5番街のサロンをモデルにしたデジタルショップのような先行企業のデジタルプロジェクトとは異なり、ウォルマートの取り組みは現実世界の風景にはあまり根ざしていない。 またウォルマートは、このプラットフォームの商品セレクションにマイ・ファム氏、ナヴァ・ローズ氏、マケンジー&マリア・ファウラー氏といったインフルエンサーのチームを起用し、ソーシャルトレンドにインスパイアされたおよそ100点もの美容・ファッション・インテリア用品をキュレーションしている。 明確なターゲットはZ世代だ。陳列された商品のほとんどは50ドル(約7870円)以下、もっとも安価な商品は3.88ドル(約610円)のフェイクパールのイヤリングである。だがこのプラットフォームは、気前よく金を使う人も除外してはいない。たとえばフェイクレザーのメタリックジャケットは106ドル(約1万6680円)である。ウォルマートレルムで一番高価な商品は、800ドル(約12万5890円)のタグが付いた白い布張りソファだ。 ウォルマートレルムは、オンラインショッピングにビデオゲーム風のひねりを加えており、これもまたウォルマートがZ世代を念頭に置いてこのプラットフォームを設計したことを示唆している。たとえば「Go Chromatic」では、テトリスにインスパイアされたミニゲームで100ドル(約1万5700円)の懸賞が当たるチャンスがある。さらにウォルマートレルムのすべての空間を探索しながらウォルマートのシグネチャーである黄色い星のロゴの形をしたトークンを集めると、20%オフクーポンなどの特典を獲得できる。こうした発想は、店舗で買い物をするのと同じような方法でユーザーがプラットフォームに長居する動機付けとなる。