トランプ氏、どこまで関税引き上げるのか-習氏試す対中政策表明
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領が中国製品に追加関税を課すと表明し、通商問題を巡る対中政策の一端を示し始めた。中国の習近平国家主席が今直面している問題は、2期目のトランプ政権がどこまで関税を引き上げるかということだ。
トランプ氏は25日、麻薬などの違法薬物の流入を理由に、米国が既存の全ての課税に加えて中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
アジアソサエティー政策研究所中国分析センターで中国政治を担当するニール・トーマス研究員は、「習氏に次のトランプ政権と協調する意思があるかどうかを早い段階で試している」と分析。
習氏が「トランプ氏の要求に同意すれば、痛みを伴う関税を回避できるかもしれないが、それによりトランプ氏が一段と関税を引き上げ、譲歩を引き出そうとする可能性が高まり得る」と述べた。
トランプ氏は大統領選中から保護主義的な政策を公約に掲げていたが、今回の関税を巡る投稿は米中という世界1、2位の経済大国間の対立を一段と激化させるリスクをはらんでいる。
ワシントンにある中国大使館の劉鵬宇報道官は、中国側は麻薬対策の進展状況を米政府に報告しており、両国の経済・貿易協力は「相互に有益」だとコメント。
中国が故意に合成オピオイドの一種、フェンタニルを「米国に流入させているという考えは事実と現実を完全に無視」しており、「貿易戦争や関税戦争に勝者などいない」とX(旧ツイッター)に投稿した。
中国外務省は26日発表した声明で、フェンタニルを「米国の問題」だとする一方で、麻薬対策に関する米中協力の成果を称賛し、中国は麻薬取引の撲滅に協力してきたと説明。
「中国は平等と相互利益、相互尊重の原則に基づき、米国との麻薬対策協力の継続を望んでいる。米国は中国の善意を大切にし、麻薬対策を巡り苦労して得た米中協力の良好な状況を維持すべきだ」と主張した。