「2000万人」「108%」「600人」「52期連続」圧倒的王者のアパホテル、業界人も震撼する、4つの”ありえない数値”とは?
このようにアパが高収益にこだわる理由は、持続可能な経営を行うためだ。そこにはまず、人材が不可欠。だからこそ確実に収益を上げ、従業員に給料や福利厚生として還元する原資にしている。 「サービス業界は長く人手不足が続き、他業種からの流入も少なくなっています。ですが、サービス業界で働きたいと考えている人は一定数います。彼、彼女たちに選ばれるためには、サスティナブルにベースアップ、福利厚生を充実していけると判断できる、信頼が必要なのです」(元谷氏)
それを裏打ちするのが高収益、すなわち財務力なのだ。このためアパは、「トリプルワンシステム」や「1ホテル、1イノベーション」などの姿勢で稼働を高めながら、レベニューマネジメントとダイナミックプライシングでRevPARをアップ。高収益を確保している。 ■変形地への出店も、信念に裏打ちされたもの 加えて、DXによる省人化を進めるなど、さまざまな工夫で削れる経費を徹底削減するのも経営信条だ。出店地の選び方もその1つ。一般的に選ばれる整形地ではなく変形地への出店で、初期費用を抑えている。
「規格外野菜と同じ感覚です。形は多少いびつでも、同じ駅からの距離と面積の土地を2割は安く買えますから」と元谷氏はほほ笑む。 これを象徴する特徴的なシルエットのホテルが『アパホテル〈渋谷道玄坂上〉』だ。W型の土地のポテンシャルを独自設計で最大限に生かし、面積に対しての客室数を、整形地と同じ数で維持している。フォーマット化したホテルではとてもできない、設計力が発揮された建物だ。 客室のコンパクトさも徹底した経費節減を象徴している。ベーシックなアパホテルの客室は基本、ユニットバスを除いてシングル9㎡~だ。9㎡は旅館業法で決められた最低限の広さ。
そのコンパクトさを揶揄されることもあるのでは……と尋ねたところ、元谷氏は「客室を1.2倍、1.3倍の広さにしたとして、単価を高くとれるのでしょうか?」と問いかけてきた。 続けて、「とれないならば最低限の広さを遵守して、レベニューマネジメントで最大の売り上げを確保します。だからアパは他チェーンに比べ、1㎡当たりの売り上げが業界でトップだと思います」と語った。 ■従業員にとってもサスティナブルな経営を