三菱「トレディア/コルディア」を覚えていたらカーマニア認定! 日本初の1600ターボは純国産ターボをアピールしていました【カタログは語る】
1600ターボとして登場したトレディア/コルディア
もっとも小さい1400ターボは当時のミラージュで登場、そのひとつ上のクラスの1600ターボ(パンフレットではクルマの写真部分が水色のシルエットになっている)として登場したのがトレディア/コルディアだった。ショー会場には3ドアハッチバックのコルディアで、ボンネット上にエアスクープがつくターボのコルディアXP(当時のカープラザ向け)と、NAで顔つきの異なるコルディアXG(ギャラン店向け)とが展示されていた。 もちろん当時の東京モーターショーのパンフレットが手元にあるからには筆者も自分の目で会場で実車を見ていたはず。同じショーでは初代パジェロの量産型も展示されていたり、会場の取材が記事になったCG誌1982年1月号では赤いコルディアXPターボが表紙を飾っていた(筆者はなぜかこういうことをよく覚えている)。が、筆者も、このクルマにインパクトがあったか? と問われると、イエスと答える自信はなく、スマートではあったがやや地味目なクルマ……そんな印象を受けたかもしれない。
空力を意識したデザインも魅力的だった
実際に市販されたクルマは、3ドアハッチバックのコルディアと4ドアノッチバックセダンのトレディアとがあった。当時のミラージュIIの4ドアはホイールベースが2380mmだったのに対してコルディア/トレディアのホイールベースは2445mmと65mm長く、3ドアハッチバックのコルディアは少し間延びして見えなくもなく、トレディアをミラージュIIの4ドアノッチバックセダンと較べると、全高はトレディアが20mm高かったものの全長はミラージュIIセダンのほうが175mm短く、相対的にミラージュIIのほうが小気味よいルックスに見えたかも知れない。 またトレディアもコルディアも、シトロエンほどではなかったがリアフェンダーのアーチラインはタイヤをわずかに隠すデザインで、これは空力を意識したものといった表記を、どこかの資料で読んだ覚えがある。ただし当時の筆者の個人的な感覚では、1978年に登場した初代ミラージュがスタイルに代表される斬新さが魅力だったのに対して、トレディア/コルディアは、後から登場したクルマながら、新型車感がやや弱い……そんな思いを抱いた覚えがある。 とはいえ性能面では、日本初の1600ターボを謳うサターン1600ターボ、G32Bターボがフラッグシップだった。三菱らしくターボに関してはグループ内での自社開発で「純国産の純血ターボ」をアピールしていたほか、初代ミラージュ同様に、MT車ではエコノミー/パワーを切り替えられるスーパーシフトを採用。走りのポテンシャルを広げていた。また1800のエンジンではサイレントシャフトが使われ「4気筒エンジンで8気筒並みの静かさを生む」とカタログでも紹介。併せて「この技術は西独ポルシェ社が、三菱自動車の技術使用許諾を得て、新開発ニューモデルポルシェ944に採用」とも、さり気なく記しているのは、今考えると物凄いことかも知れない。
島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)