「日台関係は史上最良」台湾の李逸洋駐日代表インタビュー 「中国も民主の道歩むべき」
9月に着任した台湾の台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表(大使に相当)が11日までに産経新聞の単独インタビューに応じた。日台関係は「史上最良の時期にある」と強調。価値観を共有する日台が米欧などと連携して「民主の保護の傘」を広げることが、「台湾海峡の平和と安定、国際社会の利益を守る最良の方法だ」と訴えた。 【比較してみる】中国と台湾の軍事力 ■中国国民党批判記事で収監経験 李氏は前任の謝長廷氏に代わり、9月9日に着任した。日本メディアのインタビューに応じるのは初めて。記者を経て政界入りし、民主進歩党の陳水扁政権下で党秘書長や内政部長(内相)を歴任。蔡英文前政権で公務員人事などを担う考試院(人事院)副院長を務めた。 台湾が戒厳令下にあった1984年、雑誌「蓬萊島(ほうらいとう)」の編集長だった李氏は雑誌社社長の陳水扁元総統らとともに中国国民党政権関係者の批判記事を載せ、収監された経験がある。この「蓬萊島事件」は台湾の民主化過程において重要な意味合いを持っている。 「言論の自由を求めた結果が投獄だった。戒厳令下の不当な政治弾圧だった」と李氏。この経験から中国とは異なる自由や民主主義への思いをより強めたといい、「台湾は先人の努力や犠牲の末に民主化を勝ち取った。台湾が選んだ現在の自由と民主主義の道を信じている」と語った。 今年に入り、中南米を経由して米国に〝亡命〟しようとする中国人が急増したが、李氏は「なぜ危険を冒してまで米国を目指すのか。中国にない自由や民主主義を求めている表れではないか」と指摘する。「中国もいずれは民主主義の道を歩むべきだ。その時こそ台湾海峡の平和が実現する」と訴える。 台湾統一を狙う中国は連日、台湾海峡に軍艦などを派遣し、威圧を強めている。10月には台湾を取り囲む形で軍事演習を行った。李氏はこの後に米軍とカナダ軍の軍艦が台湾海峡を通過したことに触れ、「この航行の自由作戦は、台湾海峡が中国の内海ではないとの国際社会からのメッセージだ」と主張した。 ■「中国に台湾を代表する権利ない」