「国債価格が急落すると日銀が債務超過、円暴落」は本当か
資本が吹き飛ぼうが、債務超過になろうが、それで日銀が潰れることはない(写真:kpw/PIXTA)
主要各国が利上げに動く中、日本だけは利上げができず、それが円安につながっていることはすでに何度も触れていることであるが、日本はなぜ利上げが容易にできないか、どんなことならすることができ、何をすると問題が生じるのか、あらためて整理しておきたいと思う。 よく聞かれる議論の一つに、「日銀は国債を大量に買っているので、国債価格が急落すると債務超過に陥り、中央銀行が信認を失うので円が暴落する」というものがある。だが、こうした議論は往々にして正確性に欠ける部分が多い。 実際には、(1)国債価格の急落だけでは日銀は債務超過にならず、(2)日銀の財務を悪化させるのは政策金利を引き上げるときなのである。だから日本の利上げは難しい。さらにいえば、(3)日銀が債務超過になること自体は実はそれほど大きな問題ではなく、真の問題は政府財政の持続性である。
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田渕 直也