ダイハツ工業 “牛ふん”で 自動車部品の加工も!?【WBS】
滋賀・竜王町にあるダイハツ工業の滋賀工場。9日に公開されたのは、工場内に建てられたプラントです。クレーンで持ち上げられている巨大な袋に入っているのは牛のふん。このプラントでは、牛のふんからメタンガスを作る実証実験が進められています。 牛のふんを2週間かけて発酵させてメタンガスを抽出。滋賀工場ではこのメタンガスを使って発電し、工場の電源の一部として活用します。 実証実験で牛のふんを提供しているのが、地元で近江牛を育てている「澤井牧場」です。約2200頭が飼育されているこの牧場では、1日10トンほどの牛のふんを自分たちで数カ月かけて堆肥に加工しているといいます。 実証実験に加わることで、今後は牛のふんを自分たちで堆肥にすることなく、そのまま回収してもらえるようになるため、時間と量を削減できるようになるといいます。 「畜産農家はこの堆肥の処理を義務付けられている。それを自分の農場でしなくてもいい」(「澤井牧場」の澤井隆男さん)
連携しているのは、ダイハツと牧場だけではありません。ダイハツは畜産農家から集めた牛のふんでメタンガスとともに、固体と液体の肥料を作って米農家に提供。農家から稲わらを牛の餌として活用し、循環させます。地域で持続可能な農業を作る狙いです。 実証実験の舞台となる竜王町も期待を寄せています。西田秀治町長は「竜王町は農業の町。いい米もとれる。近江牛の肥育もしている。町の特質を生かせる取り組み」と話します。 ダイハツでは今回のプラントについて数年以内に規模を拡大させる方針です。将来的には牛のふんによるメタンガスで、自動車に使われるアルミの加工に必要な燃料ガスの約10%をまかない、工場から出る温室効果ガスの削減を目指します。 「プラントを10~20倍の規模にしないと、10%の熱源をメタンガスに変えられない。設備投資を安くする。製造過程で効率を上げる。そういうことをダイハツ自身がもっと取り組まないとできない。採算のとれる事業にしていかないと持続的ではないので、それを目指して進める」(ダイハツの井上雅宏社長) ※ワールドビジネスサテライト