NVIDIAのジェンスン・ファンCEOとの孫正義氏が語り合い、3000人が聞き漏らすまいとした全て 孫氏が10年前、ファン氏に伝えた「市場はNVIDIAの価値を理解していない」
孫さん 「あの頃、そしてある程度は今も、大企業やメディアなどの中では“ものづくり”つまり、物理的な製品が価値あるのだとされ、ソフトウェアはあくまで仮想的なものと考えられていました。日本ではこのような考え方が長い間続いてきました」 「そのために若い人たち、特にネットバブル崩壊後の世代が批判され続け、いわば罰を受けたような状況になり、若い才能が情熱を失い、気力をそがれてしまいました」 「しかし、ロボット工学にAIを持ちこみ、私の好きな漫画、たとえば鉄腕アトムのように、ただの筋肉や力だけではなく、ロボットにも情熱が宿り、友人としての存在になるような時代が近づいています」 ■産業がリセットされている 日本も波に乗れ ファンさん 「新しい時代の幕開けですね」 孫さん 「リセット」 ファンさん 「その通りです。今、産業がリセットされています。 スタック(積み上げてきたもの)全体がリセットされつつあることが分かります。新しい世代では、前世代の企業はあまりうまくいっていない。そして、まったく新しいスタック、まったく新しいチャンスが出現しているのです。日本もこのチャンスを活かさなければなりません」 「人工知能はソフトウェアとは非常に異なるもので、AIにはデータが必要です。また、ドメイン知識、つまり専門知識も重要です。たとえばアーティストやゲーム開発、製薬など、それぞれに専門知識があり、それをデータで表現できるなら、そのデータを使ってAIモデルを訓練し、自らのAIを作り上げることができます」 孫さん 「日本にとって良いニュースは、今回に関して、日本政府は規制で抑え込もうとはしていないということです。一部の国では、人工知能の分野に対して過保護なほどに規制をかけられています」 「幸運にも、日本政府は今回は技術革新を押さえ込もうとはしていないようです。もっと促進させるべきだとも思いますけどね。なので、今が追い越せるチャンスです。私たちはこのチャンスを逃してはなりません」