「90代女性、2人の孫にお金を渡したいが、贈与税や自分の介護費用も心配」実例相談をもとにFPが回答
贈与税の計算方法「速算表」を活用しよう
贈与税は、財産を「もらった人」(受贈者)で判定します。年間110万円までなら贈与税はかかりませんが、例えば150万円贈与した場合は、基礎控除の110万円を超えた分、40万円の10%が贈与税となり、4万円かかります。 なお、2015年1月から直系尊属から贈与により財産を取得した受贈者については、「特例税率」が適用されるようになりました。 贈与税を計算するときには、以下の速算表を使用すると便利です。 <特例贈与財産用>(特例税率) 贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18才以上の者に限ります)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算で使用します。 基礎控除後の課税価格|税率|控除額 200万円以下|10%|- 400万円以下|15%|10万円 600万円以下|20%|30万円 1,000万円以下|30%|90万円 1,500万円以下|40%|190万円 3,000万円以下|45%|265万円 4,500万円以下|50%|415万円 4,500万超|55%|640万円 <一般贈与財産用>(一般税率) 「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。 基礎控除後の課税価格|税率|控除額 200万円以下|10%|- 300万円以下|15%|10万円 400万円以下|20%|25万円 600万円以下|30%|65万円 1,000万円以下|40%|125万円 1,500万円以下|45%|175万円 3,000万円以下|50%|250万円 3,000万超|55%|400万円 ※参照 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
贈与しても介護になっても安心の金額とは?
Aさんは、年金収入が約60万円、預貯金がおおよそ1000万円強あります。不動産など他の資産はなく、相続税基礎控除の範囲内のため、相続税はかかりません。 ご相談の結果、Aさんは息子さんとその妻、2人のお孫さんに110万円ずつ贈与することを決めました。 残りの預貯金は600万円くらいとなりますが、前述のように介護のための準備資金としては十分な金額といえそうです。仮に介護になった場合でも介護保険施設なら、一定の要件を満たせば「食費・居住費」の軽減※も受けられるなど、家族に迷惑かけることも少ないだろうというご判断です。 もしも介護でお金が必要になったときは、息子さんから「家族で支援するから安心して」と言われたのが最後の決断につながったとのこと。贈与により子どもや孫の喜ぶ顔を見ることができ、大変嬉しかったそうです。
孫や子どもに生前贈与するときの注意点【まとめ】
元気なうちに子どもや孫に財産を渡したいと思っても、贈与の金額によっては税金を支払わなければならず、ご自身が介護になったときの費用が不足する可能性もあります。介護費用を考慮しながら、贈与金額を検討する必要があるでしょう。贈与税の精度を理解した上で、ご自身の財産を有効活用してほしいと思います。